「反復を繰り返さないための虐殺の記憶」
広告
「1923関東朝鮮人大虐殺を記憶する行動」が主催するオンライン講演会「朝鮮人虐殺をなかったことにしたい人たち」が6月23日、都内の書店で行われた。
講演に立った加藤さんはまず、関東大震災時に起きた朝鮮人虐殺を内閣府中央防災会議の報告をもって説明し、「内閣府がまとめた控えめな報告として虐殺について書かれているので、虐殺が起きたということについて日本の歴史学の世界でおおよそ否定する人はいない」、「左翼や保守派などの(主義主張の)問題ではなく、歴史学者の名に値する人は虐殺があったということをいろいろな所で書いている」ことを朝鮮人虐殺の大前提として押さえるべきだと主張した。
「虐殺はなかった」のロジックと影響—
2009年、ノンフィクション作家であり日本会議メンバーの工藤美代子さんという右翼言論人が『関東大震災朝鮮人虐殺の真実』という本を出版した。震災当時の記憶を伝える人がいなくなった頃に「虐殺はなかった」と主張したのが同書だ。
虐殺否定論の影響はネット右翼にとどまらない。
歪んだナショナリズムと「欲望」
なぜここまでして朝鮮人虐殺を「なかったことにしたい」のか。それは、日本のナショナリズムが非常に歪んできているからだと思う。本屋に行けば常に嫌韓本が積み上げられているように、日本の反動的ナショナリズムというのが民族差別をガソリンにして回っているように思える。
(続きは月刊イオ2020年8月号に掲載)