【イオ ニュース PICK UP】福岡朝鮮学園/朝鮮学校無償化実現・福岡連絡協議会の声明全文
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九州無償化裁判控訴審判決言い渡し後、福岡朝鮮学園と朝鮮学校無償化実現・福岡連絡協議会がそれぞれ声明を発表した。以下、全文掲載する。
学校法人 福岡朝鮮学園
九州朝鮮中高級学校
声明
2013年12月19日、九州朝鮮中高級学校の生徒68名が「高校無償化」からの排除の不当性を訴えて、日本国を相手に国家賠償請求訴訟を提起して6年10ヶ月、福岡高等裁判所は、昨年の小倉地裁不当判決に続き、本日、原告敗訴判決を下しました。私たちは、これを「高校無償化」法の趣旨に反し、子どもの学習権や民族教育の意義を一顧だにしない不当判決と捉え、強く抗議します。
全国5カ所の裁判では就学支援金の受給権が高校生1人1人に与えられた権利であることを忘れ、「高校無償化」法の趣旨を無視し、国が主張する「不当な支配」論に基づき、高校生や学園の請求を棄却する判決を繰り返してきました。本日また福岡高裁が不当判決を下し、「人権の砦」であるはずの司法が自らその役割を放棄し、朝鮮学校差別に不当な「お墨付き」を与えたことは、極めて深刻な事態です。
昨年「改正子ども・子育て支援法」が国会で成立し、幼児教育・保育無償化がスタートいたしました。ところが、全国の朝鮮学校幼稚園や、インタ-ナショナルスク-ルなど、各種学校の認可を受けて幼児教育を行っている外国人幼児教育施設だけ検討から外された結果、無償化の適用除外となっております。
なぜ、朝鮮高級学校や各種学校の幼児教育施設だけがこの無償化から除外されているのでしょうか。この国がいう「すべての子どもたち」には朝鮮学校・朝鮮幼稚園に通う生徒や幼児は含まれていないのでしょうか。
教育の機会均等や民族教育の保障は、憲法をはじめとする国内法規や国際人権法に定められ、政府・地方自治体として実行しなければならない責務です。
国連の人権差別撤廃委員会は、日本政府に対して、朝鮮学校への「高校無償化」制度の適用と、地方自治体の補助金の再開・維持を勧告しています。
私たちは、日本政府が国際社会の勧告に真摯に耳を傾け、朝鮮高校在校生に「高校無償化」を即時適用し、「就学支援金」を支給するよう強く求めるとともに国家や行政府による「ヘイト」をやめさせ、朝鮮学校に通う生徒たちの学ぶ権利を保障する改善措置をとるよう強く求めます。
本日の不当判決は、本校の68名の原告にのみ関わるものではありません。「高校無償化」制度が始まった2010年から現在まで全国の朝鮮高級学校10校に在籍したすべての朝鮮高校在校生に該当するものであり、行政府の主張をそのまま受け入れ、子どもたちの神聖な学ぶ権利を侵害し、司法の歴史に汚点を残した全国5カ所の高裁の不当判決を、私たちは絶対に認めません。
私たちは、全国の朝鮮高校在校生が平等な学習権を享受し、心おきなく学び成長する社会を実現するため、また多民族・多文化を理解し共存共栄する社会を築くために、今後とも民族教育活動に全力を注いでまいります。
これからも全国10校の朝鮮高校在校生と卒業生、また保護者と在日同胞はもとより、弁護団の諸先生の方々、多くの日本の友人の皆さまと世界の支援者とともに、良心と正義が実現するその日まで闘いを力強く継続することを誓います。
最後に、今日まで私たちの裁判運動を支え、惜しみないご協力を下さった全ての方々に、心から感謝の意を表するとともに、これからも温かいご支援・ご協力を賜るよう、よろしくお願い申し上げます。
2020年10月30日
朝鮮学校無償化実現・福岡連絡協議会
声明文
九州朝鮮高級学校生徒達が、「高校無償化」の適用を求めて日本国を相手どり、2013年12月19日に提訴して6年10か月、福岡高等裁判所は、2019年3月の福岡地裁小倉支部不当判決に続き、本日、不当な原告(控訴人)敗訴判決を言い渡しました。一昨年からの東京・大阪・愛知の提訴を退けた最高裁決定、そして、先日、16日の広島高裁の不当判決に続く今回の不当判決に対し、「政府に続き、司法までもが『高校無償化』法の趣旨に反し、朝鮮学校差別を公然と行った不当な措置、判決だ」として、私たちは、万感の思いを込めて怒りと抗議の声を上げます。
この間、当時の九州朝鮮高級学校生は、勉学やクラブ活動、友だちとの語らいに費やされるはずの多くの時間を割いて街頭に立ち、「『朝鮮学校だから』ということだけで高校無償化適用除外は差別だし、学ぶ権利はみな平等にあるはずです。」「朝鮮学校で学ぶ私たちにも、日本の学校の生徒と同様に学ぶ権利があることを分かってもらいたいと思っています」などと訴え続けてきましたし、裁判でも意見陳述を行ってきました。
私たち連絡協議会も、これまで、福岡朝鮮学園や弁護団、多くの支援者とともに、街頭宣伝や署名活動、節目の決起集会などを行ってきました。特に、昨年の福岡地裁小倉支部判決後には、毎月「3.14を忘れない、第2木曜日行動」として福岡・天神での街頭宣伝も続けてきました。
しかし、この切実な生徒や保護者、私たちの声は裁判官の心には届かなかったのでしょうか。公正、公平な判断を旨とする裁判所までが朝鮮高級学校生を差別し、傷つける判決に私たちの心は、またもや大きな驚きと怒りで一杯です
私たちは、本日のこの『不当判決』を絶対に認めず、直ちに上告してたたかいます。そして、決してひるむことなく生徒たちを励ましながら、今後とも民族教育の擁護、子どもたちの学ぶ権利の保障を求め、全国の支援者とともに、勝利の日まで共にたたかっていきましょう。以上、声明とします。
2020年10月30日