【学ぶ権利を目指して】「裁判所は公正な判断を」
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10月16日の判決言い渡し期日を前に、「広島『無償化』裁判控訴審 勝利のための決起集会」が9月11日、広島朝鮮初中高級学校で行われた。無償化裁判で原告敗訴が確定した東京でも、支援団体が地道な活動を行っている。「朝鮮学校を支援する山口県ネットワーク」から送られてきた活動報告も紹介する。
広島控訴審判決控えて決起集会
アピールも採択
今回の集会開催に際して、東京、神奈川、静岡、京都、大阪、徳島、福岡、朝鮮対外文化連絡協会など国内外のさまざまな団体、個人から応援メッセージが寄せられた。届けられたメッセージは会場内に展示されたほか、一部は集会で読み上げられた。また、前川喜平・元文科省事務次官、田中宏・一橋大学名誉教授らから送られてきたビデオメッセージも紹介された。
そのうえで、広島高裁の三木裁判長に向けて、「民族教育権の保障を願い、高校無償化制度の適用を求める声を真しに受け止め、公正かつ適正に審理され、判定されることを心から願っている。そうすることが日本の未来を明るく切り開いていく子どもたちを育むことにもなると確信している」と呼びかけた。
東京「差別なくして」
無償化連絡会がリーフレット
「朝鮮学校『無償化』排除に反対する連絡会」(以下、無償化連絡会)が、東京無償化裁判が敗訴に終わった後も、朝鮮学校への支援や日本政府や行政に対する差別是正の声を上げ続けている。新型コロナウイルス感染拡大が続くなか、日本政府は日本の国公私立学校などへの支援策を打ち出しているものの、朝鮮大学校が学生支援緊急給付金から排除され、第2次補正予算で加えられた支援策においても各種学校への言及がなく、朝鮮学校が対象外となっているからだ。無償化連絡会ではこのような差別の実態をリーフレットにまとめて広く発信している。
新キャラクターはコッキリ
ロゴも作成
無償化連絡会の新しいキャラクターとロゴが決まった。キャラクターの名前はコッキリ(꽃길이)。コッは朝鮮語で花、キルは道。民族教育の道、生徒たちが歩む道が花道であればという願いが込められている。コッキリが肩にかけている小さなバッグは4次元ポケットで、いつでも民族教育や無償化問題に関する知識を伝えられるよう、1945年からの歴史資料が入っている。そして、いつでも声を届けられるように拡声器を手にしている。製作者は在日4世の李成香さん。
コッキリを活用したい方は、「コッキリデータ希望」と明記のうえmushoka2020@gmail.comへご連絡を。
山口支援の力集め、市民に広げたい
山口からの活動報告
「子どもたちの学ぶ権利を保障せよ!」などのシュプレヒコールで毎月第2水曜日の県庁前抗議活動は終わり、その後、参加者による座談会に移る。毎回30名を超す支援者は県内だけでなく北九州市からもやってくる―。
6年前に発足した「朝鮮学校を支援する山口県ネットワーク」(以下、県NW)はコロナ禍でも抗議の座り込みを続けている。支援者の原動力は「行政による差別を許さない、朝鮮学校の民族教育権を守る」という気持ちの表れだが、もう一つ要因がある。
すぐさま「山口県民族教育を支えるオモニたちのネットワーク」の金静媛事務局長の呼びかけで、毎週水曜日に県庁前で抗議活動を開始した。やがて日本の支援者も駆けつけ「同じ山口県でともに生きているのに、朝鮮学校の生徒たちだけを排除する行政のあり方に矛盾を感じる」と怒りを込めてその輪に加わった。
現在、県NWは県学事文書課に対し、毎年、補助金復活要求(予算計上)を行っているが、今年は「幼保無償化とコロナ問題」に関して3回の要請行動を行った。
朝鮮学校のある下関市では、年に数回の申し入れによる補助金復活の闘いを継続中だ。目に見える成果はあまりないが、それでも申し入れのたびに「朝鮮学校の存在を忘れるな」という意思表示はしっかりできている。下関市には、学校下の道路に「通学路につき注意!」の文字を、裏門側の狭い車道と歩道に約100mの境界線をそれぞれ表示させた。こうした一つひとつの積み重ねが大切だ。
今年5月、私が正式に県NWの代表を務めることとなった。福岡県での「朝鮮学校を支援する会」五者会議や西日本(中国・四国・岡山・九州)交流会などで忌憚なく意見をのべ合う一方で、各代表者と知己を得た。朝鮮学校の校長や先生たちとも率直な意見交換を始めた。これからも九州および広島の無償化裁判支援を含め、「あきらめない闘い」を続けるつもりだ。多くの市民に朝鮮学校の民族教育やすばらしい文化を知ってもらうため、知恵や工夫を探求していきたいと思う。【朝鮮学校を支援する山口県ネットワーク代表・内岡貞雄】
資料集 조선학교의 아이들(朝鮮学校の子どもたち)
山口県における民族教育を守るための活動をまとめた資料集。頒価500円、3冊以上は送料無料。連絡は内岡貞雄さんまで(携帯電話:090-9579-1588、メール:m3-uhioka@jcom.home.ne.jp)