【イオ ニュース PICK UP】幼保無償化、「新たな支援策」求める署名/朝大生ら国会前でアピール、約1400筆集める
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11月3日に東京・永田町の国会正門前で約3000人の参加のもとに行われた集会「平和といのちと人権を 11・3 大行動 憲法が生きるコロナ後の社会」で、朝鮮大学校(東京都小平市)で法律を学ぶ女子学生(4年)が、幼保無償化から外されている朝鮮幼稚園への差別についてスピーチを行った。
発言した朝大生は、「無邪気な子どもたちを差別することは、自分たちが差別されるより辛い。高校無償化、学生支援緊急給付金からの除外など、朝鮮学校の生徒をまとにした攻撃は幼い子どもたちにまで及んでいる」と悲しさと悔しさをにじませた。
「日本社会が掲げる立憲主義とは、憲法を最高法規として国会が運営されるというものであり、たとえ国家権力であっても、憲法を尊重しなければなりません。しかしながら、私たち在日朝鮮人は、この社会で常に人権を脅かされています。なぜ私たちには、民族の言葉を学び、歴史を学ぶことが許されないのか。新型コロナウイルスという脅威は、民族を問わず及びます。その脅威から人々を守るための施策で、なぜ民族を理由に排除されなければならないのでしょうか」
高校無償化、幼保無償化、学生支援緊急給付金など、取り巻く差別へ、「真正面から向き合っていく」と力強く語る朝大生のアピールには、大きな拍手が送られた。
19年10月から始まった幼保無償化制度。朝鮮幼稚園をはじめとする外国人学校幼稚園は、その対象から除外されているが、同年12月から始まった外国人学校幼児教育施設への幼保無償化を求める100万人署名(現在、46万筆が集まる)の提出や、当事者たちの度重なる要請を受け、日本政府は、これらの施設の一部を調査し、21年度から「新たな支援」を行うとしている。
そこで「幼保無償化の適用を求める朝鮮幼稚園保護者連絡会」は、幼保無償化から外されている外国人学校幼児類似施設への「新たな支援策」を求める署名を新たに開始https://sites.google.com/view/youhomushouka
ネットではすでに署名が呼びかけられているが、さらなる賛同を募るため、11月からは書面でも集めることになった。
「新たな支援策」を求める署名は、すべての外国人学校幼稚園を、①「幼児教育・保育無償化」の対象にすること、②21年度から実施される幼児教育類似施設に関する「新たな支援策」の対象にするよう―求めている。
「11・3」集会では、社会民主党、立憲民主党、沖縄の風、日本共産党所属の国会議員らが発言。コロナ感染拡大から見えてきた社会矛盾について、格差、差別、憲法、医療、教育、女性、沖縄の視点から市民活動家らが発言した。
集会には、他にも在日本朝鮮青年同盟(朝青)や朝大生ら約30人が参加。参加する日本市民らに、「新たな支援策」を求める署名を約1時間にかけて呼びかけた結果、約1400筆が集まった。「用紙をくれたら、仲間から集めて送りますよ」と声掛けをする男性、朝大生に「がんばって」とカンパをしてくれる日本市民の姿も見られた。青年たちは、学生支援緊急給付金の公平な給付を求める署名(「在日外国人学生の学びの権利を考える会」)への協力も求めるなど、精力的に活動した。
署名用紙に名前を書き込んでいた川崎市職員の30代男性は、「幼保無償化を求める署名は、地元の川崎朝鮮初級学校の先生たちが集めていたので知っていました。属性によって差別されることは許されないと感じています。SNSなどを通じて流布するフェイクニュースをそのまま思い込む人が多く、問題の本質が伝わっていないのが一因ではないでしょうか」と語る。
「国の考え方や都合で、子どもの将来が決まってしまうのはおかしい。地域にいると、朝鮮学校を訪問するなどわかりあえる機会もあるので、小さな交流を続けていけば、しだいにこの問題が他人事ではないと感じられると思う」と励ましの言葉を送っていた。