vol.2 文字習得から見えてくる
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文字習得から見えてくる(東京朝鮮第6幼稚園 張淑瑛先生)
3学期にもなると、年長組の多くがひらがなを読めるようになり、なかには書ける子もでてくる。2学期から始まる、1年生に進学するための事前保育の賜物でもある。教員と交換(絵)日記をしたり、文通をしたり、個々のレベルに合わせ、楽しく身につけていけるよう工夫している。
昨年の冬、各教室にポストを設置すると、年少、年中組は年長組からお便りが届くのを、年長組はその返事が来るのを楽しみに待つようになった。
言葉を文字にすると、なかなか新しい発見がある。例えば朝鮮語の「リウルパッチム(ㄹ=ル)」は「イ」と書く子が多い。「オヌル(今日)」だと「オヌイ」となる。なるほどなぁと思いながら、日頃の発音に気をつけなければと気が引き締まる。
そして、問題は宛名だ。第6幼稚班には、子どもたちが書くには複雑な名前の教員が多い。特に、私の名前は「ちゃんすぎょんそんせんにん」と、ひらがなが13文字にもなる。すると、「ちゃんすぎょん」と大胆に途中で諦める子や、「ちかんすぎょん…」と問題アリになったり、「ちゃすぎょそせにん」と多すぎる「ん」を省略されたり、いろいろなパターンが出てくる。
手紙が来るたび、宛名の表記にツッコミを入れながら、そんな子たちが1年生にあがった時を想像してみる。ウリマルを習い、教員の名前はすべて6文字、そして、パッチムの存在…。自分たちの周りにあふれた言葉を、ウリクルで表現するとしっくりくる感覚を味わうのだろうか。今まで話してきた言葉をウリマルで書き表す。その反応を見守ることができる1年生の教員が少しうらやましい。