新連載「コロナSOS」vol.8
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Q1:在日同胞でも生活保護を受給できますか?
A: 受給できます。しかしながら、生活保護法の第1条は、「日本国憲法第25条に規定する理念に基づき、国が生活に困窮するすべての国民に対し、その困窮の程度に応じ、必要な保護を行い、その最低限度の生活を保障するとともに、その自立を助長することを目的とする」と規定しています。ここでの「国民」は日本国籍者を指しており、私たち同胞をはじめ外国籍者は含まれません。そのため、法律上は保護の対象にはなりません。
では、私たち同胞をはじめ外国籍者が生活保護を受給できる根拠は何なのでしょうか?
それは「生活に困窮する外国人に対する生活保護の措置について」という1954年5月8日付厚生省社会局長通知に基づきます。その主な内容は、「外国人は生活保護法の適用対象外であるが、外国人の困窮状態に鑑み、当分の間、国民に対する取扱いに準じて保護を行う。保護の内容には取扱いの差はつけない」というものです。
私たち同胞をはじめ外国籍者が生活保護を受給できるのは、この「通知」に基づき、生活保護法の「準用」による行政上の「措置」としてです。法律上の権利ではないのです。よって不服申し立てもできません。
(*1981年に日本政府は難民条約(難民の地位に関する条約)の批准に伴い、社会保障・社会福祉関連の法律において国籍条項を撤廃したが、生活保護法には国籍条項を残した。)
現在、この通知に基づき生活保護の「準用」の対象となるのは、①特別永住者、②入管法別表第2に示されている在留資格を有する者(永住者、定住者、永住者の配偶者等、日本人の配偶者等)、③入管法上の難民、となっています。なので、国籍にかかわらず、これらの在留資格をもつ外国籍の人は生活保護を利用することができます。
Q2:生活保護の要件や支援等について教えてください。
A: 申請は世帯単位で、資産の活用・能力の活用・その他の制度の活用などの要件を満たす必要があります。生計を同じにしている世帯員全員が預貯金や生命保険、土地や家屋などの不動産、車やバイクなどの財産を処分し、さらにあらゆる努力をしてもなお生活が困窮する時に利用ができるというものです。申請が必要で、申請を受理した福祉事務所による資産や収入、扶養親族等の照会など、保護決定のための調査があります。
生活保護には、生活扶助、住宅扶助、教育扶助、生業扶助、医療扶助、出産扶助、介護扶助、葬祭扶助など8種類の扶助があります。その人または世帯の困窮程度に応じて必要な扶助がお金や現物で支給されます。困窮に陥った理由や借金の内容などは問われません。なので、借金があっても生活保護の申請はできます。
福祉事務所では、申請の時点で借金があると「では、申請は難しいですね」と言われることもあるかもしれませんが、「保護が決まってから法律家を通して借金の整理をします」とその旨をきちんと伝えてください。(金静寅●社会福祉士・NPO同胞法律・生活センター)