朝鮮学校差別反対! 日本各地で一斉行動
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日本政府が朝鮮高級学校を高校無償化の対象から完全に除外した2013年2月20日に際して「朝鮮学園を支援する全国ネットワーク」が毎年2月に各地の支援団体へ呼びかけている「朝鮮学校差別反対全国一斉行動」に呼応し、今年も各地で集会や街頭宣伝が行われた。
△福岡
「今後の闘いへ、意思統一を」
無償化適用を求める県民集会
「高校無償化即時適用実現全国統一行動に連帯する福岡県民集会」が2月13日、北九州市立商工貿易会館で行われ、同胞と日本の支援者ら約150人が参加した。
はじめに、主催者あいさつと基調報告を「朝鮮学校無償化実現・福岡連絡協議会」事務局長の瑞木実さんが行った。瑞木さんは、高校無償化制度が施行されて10年、裁判闘争が始まり7年、そして最高裁へ上告中にある九州無償化裁判の運動過程を振り返りながら、「今日の集会を今後の闘いに向けた意思統一の場にしたい」と強調した。
基調報告では、九州無償化弁護団で弁護団長を務め、弁護士として、一市民として九州の朝鮮学校に寄り添い続けた服部弘昭さんが昨年9月20日に他界したことがのべられた。また、裁判闘争を通じて生まれた連帯の成果として、①九州・山口5つの朝鮮学校支援団体からなる5者会議が構成(16年~)されたこと、②19年3月14日の1審判決以降に始まった毎月第2木曜の街頭宣伝などがあげられた。
続いて、安元隆治弁護士が弁護団報告を行った。
福岡高裁は昨年10月30日、朝鮮高校を無償化の対象外とした文部科学大臣の判断は「裁量の範囲を逸脱、濫用しておらず」、規定ハ削除の違法性についても「判断する必要がない」として、1審判決(19年3月14日)を支持。原告側の請求を全面棄却している。これを受け、弁護団では同年11月11日付で最高裁へ上告した。安元弁護士は、一連の不当判決について、「現場を見もせずに何が適法なのか。司法がどう判断をしようが、これが在日朝鮮人に対する差別であることは間違いない」とのべた。また、裁判闘争が最終局面を迎えるいま、幼保無償化やコロナ禍による学生給付金からの除外、19年にあった折尾駅前でのヘイトスピーチ事件など現在進行形の諸問題について引き続き弁護団がその役割を果たしていくとする一方で、朝鮮学校の良さを発信する方法についても考えていきたいと話した。
次に、生徒を代表して九州朝鮮中高級学校の都滉世さん(高2、写真右上)が登壇。「ウリハッキョは朝鮮人として、格好良く生きる術を教えてくれる場所。先輩たちが見せてくれた背中を、次は自分が後輩たちに見せたい」と、今後も続く民族教育擁護運動に臨む決意を新たにした。
その他にも九州中高教員の余信徹さん、同校オモニ会の安玉喜会長、福岡県日朝友好協会の上村和男事務局長、福岡県議会の佐々木允議員、北九州市議会の小宮けい子議員が連帯メッセージをのべた。
閉会に先立って採択された集会アピール文では、▼高校無償化即時適用実現、▼上告審勝利、▼外国人学校幼稚園にも幼保無償化適用を求め、朝・日の市民らが共に闘っていこうという決意が示された。(韓賢珠・朝鮮新報)
△山口
「被害の再生産、止めたい」
下関市内で集会と街頭宣伝
「すべての子どもに学ぶ権利を!」朝鮮学校を支援する山口県ネットワーク行動(共催=朝鮮学校を支援する山口県ネットワーク・山口補助金対策委員会)が2月10日、山口県下関市内で行われ、同胞・日本市民ら約50人が参加した。
1部の集会で開会のあいさつをした山口県ネットワークの内岡貞雄代表は、コロナ禍でも継続して行ってきた活動について紹介した。続いて山口初中の保護者、教員が発言。また、九州無償化弁護団の清田美喜弁護士が「『無償化裁判』から未来へ」というテーマで講演を行った。清田弁護士は、「子どもたちは毎年入学し、支援を受けられず卒業していく。ずっと被害は再生産されている。これをどこかで止めなくてはいけない」としながら、各地の裁判は次々と終わりを迎えているが、高校無償化問題は下火にせず、引き続き取り組むべき問題だと強調した。
1部の閉会に先立ち、▼高校無償化実現、▼補助金復活、▼幼保無償化実現、▼学生支援緊急給付金支給を目指し、「各地の仲間たちと共に闘い続ける」とする集会アピールが採択された。2部は場所を移動し、下関駅前で街頭宣伝が行われた。(韓賢珠・朝鮮新報)
△埼玉
補助金再開と幼保無償化求め
ネットワーク埼玉主催で集会
「埼玉朝鮮学校への補助金再開&朝鮮幼稚園への無償化を求める2・22集会」が2月22日、浦和コミュニティーセンター(さいたま市)で行われ、約60人が参加した。集会は「外国人学校・民族学校の制度的保障を実現するネットワーク埼玉」(「ネットワーク埼玉」)が主催し、「子どもの人権ネット埼玉」や埼玉朝鮮学園などが協賛した。
集会では、「ネットワーク埼玉」の斎藤紀代美代表があいさつに立った。斎藤代表は五輪組織委前会長の女性蔑視発言について触れながら「五輪憲章は女性差別、人種差別をはじめとしたあらゆる差別に反対しているが、五輪開催国である日本では朝鮮学校差別が平然と行われている。このことをもっと社会問題として広めていかなくてはいけない」と強調し、日本社会や行政に深く根付く差別意識を克服し、朝鮮学校の子どもたちに平等な学習権が保障されるよう声を上げ続けていくことを呼びかけた。
続いて、東京純心大学の佐野通夫客員教授が「日本の植民地教育がもたらしたもの―そして現在」と題して講演を行った。佐野さんは、日本の公教育が国民意識の形成と共通語の強制による国家イデオロギーの注入と「能力選別」の道具として扱われ、植民地宗主国意識を植え付けることを目的としてきたと指摘。その目的から外れる朝鮮学校が一貫して制度的保障や公的支援から除外されてきたとしながら、その延長線上に高校無償化や幼保無償化除外問題が存在するとのべた。 (丁用根・朝鮮新報)