vol.4 青ひげ危機一髪!
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青ひげ危機一髪!(生野朝鮮初級学校付属幼稚班 金鮮一先生)
子どもたちはいつもさまざまな遊びを楽しんでいます。
城北朝鮮初級学校付属幼稚班に勤めていた新任時代、子どもたちの遊びを観察していると、お絵かきを楽しんでいる2人の女の子たちがいました。
お花にチョウチョ、そして自分とオンマと思われる人物。おしゃべりを楽しみながら、色鮮やかなマーカーペンで絵を描くふたりの姿を微笑ましく見ていると、そのうちの1人が「ソンセンニンを描く」と言い、私の絵を描き始めました。園児が描いてくれる似顔絵は、言葉にできないうれしさがあります。
できあがった絵を私にくれる女の子。「かっこよく描いてくれてうれしいよ」と声をかけると、他の子たちも「自分も描く!」と、お絵かきに参戦。次々と描き始めました。
そんな中、1人の子が顔の下半分を黒く塗りつぶしていることに気がつきました。嫌な予感がしつつも「黒いのは何を描いたの?」と聞くと、その子は元気いっぱいに「ヒゲ!」と答えるのでした。爆笑の教室。絶句の私。次々とヒゲを描き始める子どもたち。
黒く塗りつぶす子に「そんなにモジャモジャちゃうで」と言い、自分が描いた粒々の表現が正当だと主張する子、色は黒でいいのか悩む子…最終的に教室は、「ヒゲをどう表現するのか」を議論する場に変わりました。まさに青ヒゲ危機一髪。これを機に、私は「ヒゲ」を武器にすることを決めました。そして、生野初級付属幼稚班に移った今も、子どもたちが描いてくれる似顔絵には様々な表現のヒゲが描かれています。