【特集】通巻300号記念特集 イオのこれから
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1996年7月号から始まった月刊イオが、2021年6月号をもって通巻300号を迎えました。日本や朝鮮半島、また世界各地に暮らす同胞たち、日本の方々に支えられ、大切な節目を迎えることができました。300号では、イオの原点と今後の課題について考えます。アンケートで声を集め、地方都市に足を運び、創刊当初の編集者たちの情熱に触れながら―。私たちのよりよい明日のため、イオを役立てていきます。
【座談会「イオのこれからを考える」】
「私たちのメディア」が発信する「等身大」
イオが果たしてきた役割とは何なのか、読者はイオに何を求めているのか、SNS時代、コロナ禍の時代におけるイオの存在意義とは―。在日朝鮮人向けメディアとしてのイオのこれまでを振り返り、これからについて考える機会を作りたい。通巻300号に際して、新旧の編集長、30~40代の読者代表が出席する座談会を企画した。
パネラー
●張慧純(月刊イオ編集長)
●河庚希(明治大学特任講師)
●姜偉栄(在日本朝鮮神奈川県青年商工会副会長)
●金昌宣(「朝鮮商工新聞」編集長)
【161人、読者の声 月刊イオ・内容へのアンケートを実施!】
創刊から25年。世代とともに同胞たちの生活や価値観が大きく移り変わり多様化する中、求められる内容とはどのようなものだろうか。これからの誌面作りにおいて読者のニーズをすくいたく、アンケートを実施しました。
※同アンケートはGoogleフォームを利用し、facebook、twitterや本誌ブログにて告知し募集した。質問は20個。3月30日から4月13日までの2週間で161人から回答が集まった。
【イオを地方から眺める】
同胞数が少ない地方=誌面で取り上げることが限りなく少ない地方—になっている。しかし、そんな場所からも読者カードは届く。声を送ってくれているのに会いに行かないのはよくない…そんな思いから、今回は佐賀と鹿児島へ飛んだ。現地へ行かないと見えてこない同胞社会の姿に加え、その地の同胞たちの生活、またイオがどう読まれているかを取材した。
佐賀/よりどころ、人材、きっかけをもっと
今はひとり、もがいて
「完全に見切り発車だけど。でも『佐賀でもなんかやってるな』というのを見せて、心にとどめてほしかった」
4月24日、佐賀市内の会場で「ニジノキセキ」上映会があった。主催したのは、佐賀青商会の会長を務める朴貴星さん(40)。4・24教育闘争と兵庫県下での民族教育の歴史を伝えるドキュメンタリー映画を地元で上映しようと決めたのは、「なんもしなかったらいつか本当に同胞社会がなくなる」との焦りからだ。
朴さんは佐賀県伊万里市出身。県内に朝鮮学校がないため、中学から寄宿舎に入り、福岡朝鮮初中級学校、九州朝鮮高級学校(ともに当時)に通った。朝鮮大学校外国語学部を経て小倉で朝青の専従として活動したのち、27歳で家業へ入った。
地元に戻った頃、朝鮮学校出身者の同年代はほぼおらず、進学する同胞もほとんどいなくなっていた。「佐賀青商会の会長を名乗っていますが、会員は自分ひとり。対象の世代の子を誘ったこともあるけど、『自分はアイデンティティないんで』と言われた時はグラッときました」。
冒頭の上映会は新型コロナウイルスの全国的な感染再拡大も影響し、想定より少ない35人が来場。特に見てほしかった、同胞たちの人数も振るわなかった。自分たち在日朝鮮人が朝鮮学校を守り代を継いで民族教育を受ける意味、そこからつながる同胞コミュニティの大切さ…。まだまだ届けたい人がいるため、今後も地道にアクションを起こしていくと話す。…
鹿児島/〝また来てくれて嬉しい”
よく読むのは『danchu』
鹿児島県出水市にある焼肉店・慶尚園は約40年の老舗。店長を務めるのは金誠治さん(50)だ。地元で日本の小学校に通い、福岡朝鮮初中級学校、九州朝鮮高級学校(ともに当時)を卒業後、大阪の同胞焼肉店で修業して実家の店を受け持った。「ヒョンニム(兄)が作ったメニューを、自分で時代に合わせてアレンジしながら続けてきました」。
普段よく読むのは『danchu』をはじめとするグルメ雑誌や漫画。「肉の特集なんかしていたら買っちゃいますね。都会に比べてお店がそう多くもないので、盛りつけを参考にしたり。焼肉だけじゃなく、彩り豊かなフレンチの盛りつけもチェックしますよ」と研究熱心。漫画は趣味で、主にレンタルブックを利用するという。
もともとはイオを購読していたが、定期購読料の支払いを忘れて自然と契約が切れてしまったきり久しく手に取っていない。「30代後半くらいには読んでいました。九州朝高の同級生や知り合いが出ると元気にしているんだなとか。大阪で修業した時の同胞の知り合いも出て懐かしかったですね。いま読むなら、いろんな焼肉店の情報が気になります」。…
【懐かしのバックナンバー】
創刊から25年―。イオを彩ってきた元編集部員に、創刊までの歩み、日本各地を歩きながら感じた同胞社会、思い出に残る企画や取材秘話を聞いた。
【編集部員のひとりごと】
月刊イオ編集部で働く記者とデザイナーは6人。たくさんの外部筆者とともに80ページの雑誌を作っています。今回は、300号を記念したひとりごとを。…
以上は特集からの抜粋になります。全文ご覧になるには本誌をご覧ください。