【幼保無償化】約107万筆の署名集まる
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「朝鮮幼稚園に無償化適用を」
朝鮮幼稚園への幼児教育、保育の無償化適用を求め2019年12月から行われてきた「100万人署名運動」が、106万9317筆に達した(4月6日現在)。この間、朝鮮学校と朝鮮幼稚園に子どもを通わせる若い保護者世代を中心にした同胞たちが民族教育権擁護という一つの目的のためにともに闘った。
「新たな支援策」適用求め、働きかけ続く
19年10月から始まった幼保無償化制度は、朝鮮幼稚園など外国人学校幼児教育施設(各種学校認可)を除外したまま運用されている。朝鮮幼稚園の保護者や同胞、日本人支援者たちは、制度発足前から平等な権利と差別是正を求め、声をあげてきた。約5500人の参加の下に東京で行われた「すべての幼児に教育・保育の権利を! 11・2全国集会」(19年11月2日)では、日本政府の対応を朝鮮幼稚園の運営に障害を作り、さらには在日同胞社会の存立そのものを脅かす差別だとし、幼保無償化適用のための闘いを「第2の4・24教育闘争」として繰り広げていくことを確認した。
朝鮮幼稚園幼保無償化中央対策委員会は、民族教育権を求める世論を高めるため、19年12月から「100万人署名運動」を開始(写真上、国会前、19年12月)。20年3月末まで約42万筆の署名が集められた。 新型コロナウイルスの感染拡大により街頭宣伝、対面活動が難しくなったことで、6月からはインターネット署名を導入。11月からは、日本政府が21年度から実施する無償化対象外の施設に対する「新たな支援策」を朝鮮幼稚園に適用することを求める連署運動も並行して展開した。この期間に集計された署名の総数106万9317筆のうち、紙での署名は52万6701筆、インターネット署名は14万9887筆、連署運動により集められた署名は39万2729筆だった。
100万人署名には、多くの同胞と日本の市民団体や個人、韓国の市民と世界各国に居住する海外同胞も参加した。署名運動は内外の反響を呼び、20年6~8月には、朝鮮幼稚園が所在するすべての地域の学校関係者、保護者、支援者たちが、文部科学省、厚生労働省、内閣府など関連府省を訪れ、署名を提出し、朝鮮幼稚園への無償化適用を強く促した。
中央対策委、保護者連絡会は「100万人署名運動」の成果に基づき、今後も日本政府の「新たな支援策」にすべての朝鮮幼稚園を含めるための活動に拍車をかけながら、幼保無償化の完全適用のための働きかけを続けていく。(朝鮮新報)
△東京
「私はチョソンサラムです」上映会
無償化連絡会が主催
朝鮮学校「無償化」排除に反対する連絡会(東京)が主催する映画「私はチョソンサラム(朝鮮人)です」上映会が4月17日、都内で行われ、約180人が観覧した。この映画は韓国在住のキム・チョルミンさんが、2002年に金剛山で出会った朝鮮大学生の姿にヒントを得て制作に挑み、20年に完成。希望に燃えて韓国に留学したものの国家保安法違反の容疑で死刑宣告を受けた2世同胞や、日本政府の差別と社会の偏見の中でも朝鮮学校に子どもを通わせる京都の保護者たちを追った。「チョソンサラム」という言葉を手がかりに1世から、2、3、4世の在日朝鮮人たちが日本でどんな思いを抱きながら生きてきたのかを描いている。
上映後は、同連絡会共同代表の田中宏・一橋大学名誉教授が講演した。田中さんは、赴任先で出会った東南アジアの華人留学生から、千円札に登場した伊藤博文(初代韓国統監)をさして、「同じお札を使う在日朝鮮人の気持ちになったら、ずいぶん残酷なことを平気でする」と言われたことや、戦後の1948年、非常事態宣言まで発令した朝鮮学校弾圧に触れ、植民地支配を受けた国々と植民地主義を克服できずにいる日本との間に横たわる歴史認識の落差について解説した。
映画にはたくさんの感想が寄せられた。その一部を紹介する。
◎韓国の映画監督と、日本に暮らす在日の人々の最初の出会いが北の地であったという冒頭の場面に意表を突かれた。日本という地で38度線を越えて共存している在日という存在の貴重さを象徴しているようにも思えた。映画は、在日の人々の多様さを包摂する視野の広さを横軸に、在日の人々に寄り添う監督の思いを縦軸にして織られたタペストリーのようだった。
◎朝鮮半島の現代史は知るたびに驚く。スパイとして13年間投獄されたことを前向きに受け止め、希望を捨てずに生き続けている方のメッセージが心に響いた。本当の事実を知ったら「在特会」のような行動はできないはずだ。差別的な状況や誹謗中傷を一刻も早く解消できることを願っている。
自主上映会をご希望の方は、①お名前②ご連絡先③上映希望日時④上映地域を明記のうえ、上映会事務局(urimovie@gmail.com)までご連絡ください。
△九州
民族教育支援事業「みれふる」
九州青商会が企画・推進
国が高校無償化、幼保無償化から朝鮮学校を除外したことによる財政難が日本各地で続いている。さらに、昨年からは新型コロナウイルス感染症の拡大で、民族教育支援のための取り組みが大幅に制限された。そんな中、九州青商会が従来の方法を見直し、コロナ禍での新たな支援の形を模索。今年3月末に「みれふる」を考案した。
「子どもたちにカラフルな未来を」をテーマに、キャッチーなネーミングが冠された「みれふる」は、▼支援額の上限、下限を設定せず特定口座への振り込みにより誰でも垣根なく支援できる、▼支援額(5000円以上)に応じて支援者たちへ「返礼品」が贈られる―のが特徴。支援者には宮崎在住の同胞の協力で用意された九州名産のブランド肉が届けられるという。
九州青商会の金健昊幹事長は、「ただお金を集めるだけではなく、協力してくれた人たちに「返礼品」という目に見える形で還元をすることで、企画者と支援者が互いに恩恵を享受できる事業になるよう工夫した」と説明する。
「みれふる」は九州地方在住の同胞らを対象に広がって大きな反響を呼び、すでに多くの支援が寄せられている。募集は5月30日まで行われ、集まった支援金はすべて県下の朝鮮学校へ寄付される。
九州青商会の金敏寛会長は、「みれふる」を通じてコロナ禍における民族教育支援の新たなモデルを示したいと意気込んでいる。(朝鮮新報)