公益財団法人在日朝鮮学生支援会の取り組み
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設立10周年迎え、さらに裾野ひろげたい
経済的事情で学業を継続することが困難な在日コリアン学生を支援するため設立された公益財団法人在日朝鮮学生支援会。奨学事業と人材育成事業を主な柱として、これまで約500人をサポートしてきた。加えて今年は、長引くコロナ禍で困窮する学生たちに緊急支援金の支給を決定。2度にわたって伝達式が行われた。
伸ばされた支援の手
5月22日には2回目となる「コロナ禍における学業継続緊急支援金」の伝達式が朝鮮大学校で持たれ、新入生20人に緊急支援金が手渡された。在日朝鮮学生支援会(以下、学生支援会)の朴点石常務理事は、「君たちの手に渡るお金は在日同胞はもとより日本市民や海外同胞など、数多くの良心的な人々が寄付してくれたもの」だと説明しながら、感謝を忘れず学業に励んでほしいと伝えた。
同胞家庭もコロナ禍で大きな経済的打撃を受けている。日本政府は〝学びの継続のため〟を謳って「学生支援緊急給付金」を創設するも、朝大生は対象から除外。「朝鮮学校で学ぶ子どもたちに支援の手を伸ばしてほしい」――。学生支援会が関係各所に訴えたところ、たくさんの応答があったという。
昨年末には、東京都新宿区に拠点を置く公益財団法人朝鮮奨学会(1900年創設)も2000万円を寄付。これらの支援があり、計98人(高校生32人、大学生66人)への緊急支援金支給が実現した。
支給対象者の中には、コロナ禍によってアルバイトを辞めざるを得ず、保護者への負担が重くなることに心を痛めている学生が少なくなかった。
ある男子学生は、実家飲食店の売上が著しく減少しているにもかかわらず仕送りをしてくれる両親に感謝しつつも、自身は働きもできず、ただ勉強をするという状況に「自責の念が芽生えるようになり、学業への意欲や向上心が失われつつあった」という。
しかし緊急支援金を受け取ったことで不安が薄れ、改めて弁護士の目標を再確認することができたそうだ。「この支援金は自分にとって、再び学業に専念できる希望となった」。
若者の志と希望、支援したい
学生支援会が設立されたのは2011年7月。在日コリアン学生たちが日本学生支援機構などの各種奨学事業や高校無償化の対象から除外され、一部自治体も政治的理由で朝鮮学校への補助金停止や削減を決める中、それを傍観、放置してはならないとの問題意識を持った有志らが呼びかけ人となって準備が進められた。…
「舜榮 ・留学奨学金」第1回授与式
公益財団法人「在日朝鮮学生支援会」が2021年度に創設した第1回「舜榮 ・留学奨学金」の授与式が、6月16日に行われた。同奨学金制度は、朝鮮半島を中心とする東アジアの平和と発展に貢献することを志す在日朝鮮人を対象とし、海外の大学院への留学を支援することを目的としている。今年度は1人に200万円を支給。来年度からは対象者を2人に拡大し、それぞれに200万円を支給する予定だ。
授与式には、支援会の朴京子代表理事、留学奨学金の創設に携わった鄭禧昇さん(朝大第1〜3期卒業生「草創会」会長)、同奨学生に選出された朝大外国語学部卒業の李永徳さん(30)らが参加した。
支援会の朴京子代表理事は「高い希望と抱負を胸に、世界に羽ばたく素晴らしい人材に育ってほしい」と語り、目録を手渡した。
鄭会長は、民族教育の発展に貢献した父の遺志を継ぎ、奨学金制度を新たに設けられたことを嬉しく思うとしながら、「民族と同胞社会を愛し、そのために尽くそうとする気持ち以上に美しいものはない。民族教育を受ける過程で培った気概を、世界の舞台で存分に発揮してくれることを願っている」とエールを送った。…
※公益財団法人在日朝鮮学生支援会への問い合わせ、口座は以下
【問い合わせ】
公益財団法人在日朝鮮学生支援会
Tel/Fax(042-346-0520)
HP(http://zainichisienkai.or.jp/index.php/)
【募金口座】
ゆうちょ銀行 ゼロイチキュウ(〇一九)店
(当座)0324488
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