vol.9 園児の夢がかなう時には―
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園児の夢がかなう時には―(南武朝鮮初級学校付属幼稚班 皇甫繭香先生)
毎朝通園バスで登園する園児たち。
広い地域を走るバスだけあって、中には1時間半以上かけて登園する園児もいる。
さぞかし大変だろうな…と思うなかれ。園児たちはバスの中でも元気いっぱい! 幼稚園で習った歌や手遊び、流行りのアニメソングの大合唱。ウリマルと日本語を織り交ぜながらのしりとりにクイズや、なぞなぞ。園帽をハンドルに見立ててのマリオカートごっこに、水筒を赤ちゃんに見立ててのお母さんごっこ等々…次から次へと新しい遊びを創りだす。やっぱり子どもは遊びの天才だ! バスの中では会話もはずむ。
「ソンセンニムのおうちには、子どもいる?」「いるよ」「何年生?」「もう大人だよ」「子どもなのに大人?」―幼い子に伝えることは難しい。
「ソンセンニムは、お仕事何しているの?」「???」。その子は、私が幼稚園に遊びに来ていると思っていたようだ。
確かに子どもたちと一緒に歌い、踊り、遊んでいるようすは、仕事をしているようには見えないかもしれない。
何年か前、「大きくなったら何になりたい?」という話題で、ある子が「ユウチウォンソンセンニン」と言った。そして、「ソンセンニムと一緒にする!」と。
私はとても嬉しくて、「うん、一緒にしようね!」と答えた。
この子が幼稚園の先生になるのは、十数年後…。それまで健康で、現役でいられるよう頑張らねばと思った。
子どもたちの将来の夢は成長とともに変わり、現実味を帯びてくる。あの頃、幼稚園の先生になりたいと言っていた子も、今は違う夢を抱いているかもしれない。どんな道を歩んだとしても、教え子たちが自分らしく、生き生きと働ける世の中であって欲しいと切に思う。(皇甫先生の回はおわり)