裁判終わっても「声上げ続ける」、各地で街頭アクション
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さる7月の広島訴訟の上告棄却を受けて、日本全国5ヵ所で行われてきた高校無償化裁判は原告である朝鮮学校側の敗訴で終わったが、高校無償化・幼保無償化適用、自治体の補助金支給再開などを求める街頭アクションは日本各地で続けられている。
東京では千代田区の文部科学省前で、毎週金曜日に朝鮮大学校の学生、在日朝鮮人と日本人有志たちが「金曜行動」を行っている。9月3日は「朝鮮学校『無償化』排除に反対する連絡会」のメンバーを中心に10数人が集まった。東京でも新型コロナウイルス感染状況が悪化の一途をたどるなか、夏休み期間中の朝大生を欠く中でも有志らが約30分間、サイレントデモを行った。
北海道では8月30日、朝鮮学校差別をなくす札幌市清田区役所前街宣の第57回が行われた。朝鮮学校を支える会のメンバーらが清田区役所前に立った。
大阪府庁前では8月31日、438回目の「火曜日行動」が行われた。
この日は、夏休みで帰省中の朝鮮大学校の学生たちも参加し、マイクアピールを行った。
「朝鮮学校を支える町田市民の会」のメンバーで、文科省前の金曜行動にも参加している秋山真也さん(45)も東京から大阪府庁前にかけつけた。秋山さんは、文科省前での金曜行動の経験を振り返りながら、「無償化裁判が始まった時、文科省前にはほとんど日本人支援者はいなかったが、この裁判を通して多くの日本人たちが『これは自分たちの問題だ』と当事者意識を持って集まるようになった」と語った。
秋山さんは、コロナ禍で朝鮮学校支援活動が縮小を余儀なくされる中、何かできることはないかと考え、東京以外の地域の街宣活動に参加することを思い立ったという。これまで大阪の「火曜日行動」に2回参加したほか、横浜駅前で行われている月曜行動にも足を運ぶ。感染状況が悪化する中、現場に行くことに葛藤はあるというが、「少しでも力になりたい。各地の運動から学び、連帯したい」という思いが勝る。今後も参加を続けていきたいという。
△山口
〝門前払いしないで〟
山口初中、県と市へ補助金再開要請
2013年2月、山口県は1995年から県下の朝鮮学校に支給していた「私立外国人学校特別補助金」(以下、補助金)の予算計上を突如として見送った。それにならうかのように、下関市は同年、宇部市は14年から補助金の予算計上を見送り、現在まで支給は停止されたままだ。以来、現地の朝鮮学校関係者、同胞、支援者たちは月1回、水曜日に県や市に対する抗議活動を行ってきた。
今年7月には下関市長への補助金再開申し入れ、8月には県庁への要望書提出が行われ、山口朝鮮初中級学校の関係者と「朝鮮学校を支援する山口県ネットワーク」(以下、ネットワーク)代表らが訴えをした。また、夏期休暇に入っていた同校出身の朝鮮大学校の学生らも同席。現在も教育の面でこうむっている不平等について語った。
7月21日の申し入れで、ネットワークの内岡貞雄代表は「山口県の動向ばかり見ず、下関市独自の方針で補助金を再開してほしい。関門海峡対岸の北九州市、福岡県など補助金を支給している自治体を見てほしい」と発言した。
8月18日の要望書提出の場(写真)では、山口初中の呉栄哲校長が要望書を読み上げ、補助金支給は自治体の裁量権であることを強調した。次いで別の教員たちも同校の窮状について話しながら、差別をせず、目の前の子どもたちを見てほしいと訴えたが、対応した県の職員らは一貫して「差別ではない」との表面的な対応に終始した。
この日、同席した金香心さん(朝大短期学部)は、「行政が何もしてくれないから補助金が出されていない。県庁の伝達の場、会議などで意見として共有してほしい」と切実に訴えた。
李亜耶さん(朝大政経学部)は、「朝鮮大学生はコロナ禍における学生支援緊急給付金の対象からも除外された。命に優先順位をつけられたと感じ、悲しく、怒りを覚える。現在、朝鮮学校は幼稚園から大学まで差別されている。外交上の理由で門前払いするのでなく、一人ひとりの人間として尊重し、補助金を検討してほしい」とのべた。