vol.10 自然とふれあい、学ぶ
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自然とふれあい、学ぶ(福岡朝鮮初級学校付属幼稚班(保育士) 梁静美先生)
子どもは虫が大好きだ。入園すると、その好奇心は一層高まるらしい。
捕まえるのが簡単なものから順に挙げるとしたら、テントウムシ、ダンゴムシ、バッタ、ミミズ、セミ、カマキリとなるだろうか。
ダンゴムシを手のひらに乗せるにあたっては、「小さな勇気」が必要となる。それを絞り出したとたん、子どもたちは、「ソンセンニム(先生)見て!」と、手のひらいっぱいのダンゴムシと満面の笑みを見せてくれる。しまいにはこっそりとズボンのポケットにしまっては、誰にも知られぬまま自宅へ…。連絡帳に「昨日はダンゴムシも一緒に洗濯してしまいました」と書かれることもしばしば。
バッタを捕まえるのもやはり「勇気」が必要で、それを乗り越えたときに見せてくれる笑顔もまた最高だ。しかし、園児たちは捕まえたバッタを片手に(いや、両手いっぱいに)持ち、園で飼育しているカメの水槽や、カマキリの箱へと入れる―ここで自然と食物連鎖を学ぶことになる。
ミミズは何といっても大きさが自慢だ。スコップで腐葉土をすくいあげたとたん、現れたミミズに子どもたちは目をキラキラさせる。そして、ミミズ嫌いのソンセンニムに向けて披露する。
夏のセミ捕りは、長身である筆者の腕のふるい所。虫あみを使ってもセミに届かない時は「ソンセンニ~ム!」と愛らしく呼んでくれる。そして、いとも簡単に捕まえる私に敬意を表してくれる。
カマキリを捕まえると、もはや虫番長だ。
こうして子どもたちは、幼児期に身近な生き物と関わることで、小さな命を感じ、その尊さに気付き、生命を大切にする気持ちを自ら育んでいくのだ。