大きな希望”をめざして ヘイトハラスメント裁判で画期的な前進
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人種、民族差別を巡る司法判断は、被害者の闘いで少しずつ、でも確実に前進してきた。人種差別撤廃条約を援用した勝訴の流れと、法廷応戦を通じた「回復モデル」を作った「京都朝鮮学校襲撃事件」。直接の被害者が日本人であっても人種差別を認定、女性差別も認めた「徳島県教組襲撃事件」。この二つが絡み合った「複合差別」を認定した「反ヘイトスピーチ裁判」。そして、差別を独立の違法類型とした「ネットヘイト訴訟」――
東証一部上場の不動産会社「フジ住宅」社内で、「社員教育」として罷り通ってきたヘイト本や歴史改竄本のコピー配布、育鵬社教科書採択運動への動員を巡り、同社のパート社員で、在日韓国人三世の女性(50代)が、一連の行為を主導してきた今井光郎会長と同社に3300万円の損害賠償を求めた「ヘイトハラスメント裁判」。2021年11月18日、大阪高裁で言い渡された原告勝訴の判決は、そこに新たな一歩を刻み付けた…。(続きは月刊イオ2022年1月号に掲載)
なかむら・いるそん●1969年、大阪府生まれ。立命館大学卒業。1995年毎日新聞社に入社。現在フリー。著書に「声を刻む 在日無年金訴訟をめぐる人々」(インパクト出版会)、「ルポ 京都朝鮮学校襲撃事件――〈ヘイトクライム〉に抗して」(岩波書店)、「ルポ思想としての朝鮮籍」(岩波書店)、「映画でみる移民/難民/レイシズム」(影書房)などがある。『ヒューマンライツ』(部落解放・人権研究所)の「映画を通して考える『もう一つの世界』」を連載中。