１世から３世へ継がれる家庭の味／韓国厨房崔家（福井県坂井市）

by R.CHE · 公開済み 2022年2月20日 · 更新済み 2022年5月20日

石焼ホルモンは不動の人気メニュー

ぐつぐつと煮立った石鍋が登場。味噌とコチュカル、ニンニクの香りに食欲が刺激される。タレを吸い込んだ野菜と牛ホルモンがたっぷり入った「石焼ホルモン」は、26年前の創業時からある不動の人気メニューだ。辛みの強いタレに野菜の甘味とホルモンの脂が溶けだし、お酒にも白飯にもよく合う。
「１世のオモニが家でよく作っていたもの。この味は絶対に真似できへんよ」、オーナーとして腕を振るう金美麗さん（65）はそう言って胸を張る。
金さんは兵庫県尼崎市出身。結婚を機に福井県へ越してきたが、地元でよく食べていたお好み焼きの味が恋しくなり、ならばと自分でお店を始めることに。その後、焼肉屋として再オープンして以降も、こだわりのお好み焼きは提供し続けてきた。
各種タレにヤンニョム、キムチやナムルに至るまですべて手作りするという金さん。本格的な朝鮮の家庭料理がリーズナブルに食べられるとあって、ランチもディナーもさまざまな層のお客さんで賑わう。もちろんお肉の仕入れにも妥協しない。特にタンとハラミに自信があるそうだ。
現在は息子の崔龍成さん（29）が店長を継ぎ、金さんと二人で切り盛りしている。サムギョプサルやチーズタッカルビといった流行りのメニューは崔さんが取り入れたもの。「やりたいことはいっぱいあるけど、これまでは手が回らなかった。息子が地元に帰ってきてくれて嬉しいわ」と金さん。
過去に、お会計を済ませて一旦お店の外へ出たお客さんが再度顔を出し、「今日は本当においしかったです」と言ってくれたことがあったという。「オモニがウェハルモニから継いだ味を、次は自分が守っていけたら」（崔さん）。