vol.2 焼け跡に立ちあがる言葉
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差別と闘うとは、今とは違う世界を夢見ること。現実を凌駕するだけの想像力を鍛えることだ。共に闘う繋がりの拡大だけではない、いまはまだ出会えぬ者たちとも友人、きょうだいとなり得る未来を思い描き、対峙している相手も変わり得るとイメージすることだ。
「ウトロ地区」の闘いが描いたのも、そんな「世界像」だった。戦中の軍事飛行場建設で募集された朝鮮人労働者とその家族が「住め」といわれて住んだ場所である。敗戦後、土地は国策企業の後継会社に引き継がれ、不法占拠者とされた住民たちは立ち退き訴訟の被告となり、最高裁で敗訴した。彼らがそこに居ることの歴史性は歯牙にもかけられなかった。
だが、本番はそこからだった。司法機関の最終決定に対し、住民は徹底抗戦に踏み切る。闘うしかなかった。最後の選択は「そこに住み続けること」だった…。(続きは月刊イオ2022年2 月号に掲載)