vol.6 反差別に垣根はいらない ウトロ放火事件とメディア
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京都・ウトロ地区などでの放火事件は、奈良県の男性(1999年生)が、非現住建造物放火ほか2件の罪で京都地裁に起訴され、現在、公判が続いている。6月21日に被害者の意見陳述と論告求刑があり、夏には判決が出る見通しだ。
ウトロ平和祈念館の展示予定品が焼けた失火と見做された当初の段階から、惨事に繋がりかねなかった放火、しかも人種差別が動機の疑いが浮上。さらには被告と手紙や面会を重ねたメディアの報道で、差別を動機としたヘイトクライムであることが明白となった。現在の焦点は、ヘイト事件を巡る刑事裁判での次の課題、すなわち判決文に動機としての「人種差別」を明記した上で、量刑に反映させること、これまで超えられていない「一線」をクリアできるか否かにある。
この事件を、「差別との闘い」という普遍的な地点にまで運んだのは、ヘイトクライムをそれとして伝えるマス・メディアの尽力だった。国際人権基準(を語る学識者らの言葉)を基に、国内法では定義のないヘイトクライムを紙面や電波に載せる。マス・メディアでは大きな前進だ。何が差別かの認定はもちろん、地の文では文言を使うことすら避けてきたのだから…。(続きは月刊イオ2022年7月号に掲載)
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