垣根を越える“オモニの味”―/韓国家庭料理 唐辛子(三重県四日市市)
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「食を通して、在日朝鮮人について理解してもらうため。朝鮮人であるということを自負しているし、負けたくないから」
痛快に語り、明るく笑い飛ばす許玉麗さん(70)の、創業の思いだ。
韓国家庭料理店「唐辛子」は、1999年に四日市市羽津に本店がオープンし、菰野店、近鉄百貨店の食品フロアと地道にその味を広げ、2010年3月にはここ四日市駅前店が開業した。同店は、許さんの長女、金成姫さん(43)が責任者を務め、次女の成華さん(42)は経理を担っている。そして、オーナーの許さんは料理研究も担い、次々に新メニューを生み出している。
人気の肉巻玉子は、成姫さんらが子どもの頃に許さんがよくお弁当に入れていたもの。「オモニの愛情」でしっかりとくっついた甘辛い豚肉と玉子をレタスといっしょにいただくと、さっぱりと食べられる。ホルモン辛豆腐は、多くの客がこぞって注文する看板メニュー。うま辛いタレにご飯が進む。ビールのあてにも相性抜群だ。
他にも新メニューの海老サムギョプサル、限定メニューの牡蠣ヂョン、定番メニューや、豚皮のコラーゲン炒め(きなこ味)など、とにかく種類豊富で、料理はタレからすべてオリジナルだ。
女性に人気だが、客層は子どもから90代まで男女問わず幅広く、超有名芸能人やスポーツ選手も四日市に訪れた際には、オモニの味を求めて来るという。常連客にも初めて訪れる客にも、子どもにも高齢者にも、テンポよくユーモラスに声をかける許さん。「ビール飲むなら土日が安いよ」と耳より情報も伝える。
スタッフたちは韓国からの留学生はじめ、中国、モンゴル、ベトナム、ブラジル、日本とダイバーシティで、みな家族のように仲がいい。
従業員や常連客たちは、許さん家族を通じ、在日朝鮮人や朝鮮学校について知り、朝鮮舞踊を見に行ったり、四日市朝鮮初中級学校に足を運ぶようになった。「あれこれ説明するよりも、美味しいものを食べたら、相手に対する意識も変わって、理解を示すようになります」―創業の思いがしっかりと体現されていた。
Shop DATA
韓国家庭料理 唐辛子
〒510-0075
三重県四日市市安島1-1-20
三交イン四日市駅前2F
TEL:059-356-2339
営業時間:11:00~23:30(L.O.23:00)
定休日:元旦
メニュー
肉巻玉子693円、ホルモン辛豆腐1034円、ソトクソトク660円、まぐろアボカドユッケ748円、チーズタッカルビ1386円、いかキムチ550円、サムギョッサル1155円、海鮮チャプチェ795円、豚足ポックム825円、イカ餅チーズ焼き924円、すじチゲ1045円、焼辛そば858円など(すべて税込)