vol.9 せんせい、あのね
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筆者●金美蘭先生(27、和歌山朝鮮初中級学校 教員)
1年生の日本語授業で取り上げる「せんせい、あのね」。これは、子どもたちがソンセンニム(先生)に伝えたいことや自分の考え、気持ちを作文にすることを学ぶ授業である。毎年「せんせい、あのね」を通して、1年生の可愛く素朴な心の中を覗き見ることができるので、今年も教えるのがとても楽しみだった。
過去に受け持った子どもたちの中には、家族について書く子もいれば、自分や友達について書く子もいた。今年はどんなことを書くのだろうと想像を膨らませていると、「できました!」という元気の良い声が聞こえた。ワクワクしながら読んでみると…なんと全員、私について書いてくれたのだった!
一人は、「せんせい、なんでいつもそんなにわらっているの? おもしろいからなの?」という、笑い上戸な私に対するツッコミ(笑)。一人は、「せんせいは、おはながすきでしょ? おはないっぱいあげるね」という思いやりのある内容。そして一人は、「せんせい、いつもやさしくべんきょうをおしえてくれてありがとう」という感謝の気持ち。それぞれいろんな観点から、ありのままの気持ちを文字にしてくれた。どれも心温まる作品ばかりであったが、その中でも一番心を打たれたフレーズがある。
「せんせいはいつもぼくたちをすきでいてくれてる」
これを読んだとき、涙が止まらなかった。嬉しくて、愛しくて、でも、まだまだ子どもたちを思う気持ちが足りなくて、申し訳なくて…。教員室でも、家に帰っても、親や友達にも「せんせい、あのね」の内容を共有した。子どもたちはちゃんと私を見ているんだということ、思ってくれているんだということをしみじみと感じた。
私が毎日頑張れるのは、子どもたちの存在が原動力になっているから。いつも全力で、素直で、元気で、笑顔いっぱいの子どもたちに、心の底から伝えたい。
「ソンセンニムもみんなが大好きだよ。いつもありがとう!」