【京都ウトロ放火事件】被告人に懲役4年の実刑判決、「偏見に基づく犯行」と断罪
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2021年7~8月、在日本大韓民国民団愛知県本部と韓国学校(愛知県名古屋市)、在日朝鮮人が多く住む京都のウトロ地区(宇治市伊勢田町)の建物に火をつけたなどとして、非現住建造物等放火、器物損壊などの罪に問われた有本匠吾被告人(23)に対する判決公判が8月30日、京都地裁であった。増田啓祐裁判長は「在日韓国朝鮮人という特定の出自をもつ人々に対する偏見や嫌悪感に基づく、独善的かつ身勝手な犯行」であり、「民主主義社会において到底許容できない」として、検察の求刑通り懲役4年を言い渡した。
ウトロという在日朝鮮人集住地域に火が放たれたというショッキングな事件は、被疑者が差別的な動機からウトロをターゲットに犯行に及んだと供述し、名古屋の民団施設にも放火していたことで社会的に大きな関心を集めた。被害者側の弁護団は、一連の事件が人種や民族など特定の属性を持つ人びとに対する差別的動機によって引き起こされる犯罪(ヘイトクライム)に当たると指摘。検察側が動機を差別と立証した上で、求刑の量刑面にも反映するよう繰り返し求めてきた。
判決によると、有本被告人は昨年8月30日、ウトロ地区の空き家に火を付け、周辺の民家など計7棟を全半焼させた(京都事件)。7月には名古屋市内で民団愛知県本部と韓国学校にも火を付けた(名古屋事件)。ウトロ地区での放火によって、今年4月に開館した平和祈念館に展示予定だった立て看板などの貴重な歴史的資料40点も焼失した。
被告人はこれまでの公判で起訴内容を認め、一連の事件の動機について「韓国人に対する嫌悪感や敵対感情がある」「韓国人が優遇される社会に対し問題提起したかった」「ウトロ平和祈念館の開館を阻止する意図もあった」などとのべていた。検察側は、被告人が事件の前に失職したことへの憂さ晴らしが主な動機だとして、「在日韓国人およびその関連団体に対して一方的に抱いていた嫌悪感から事件を起こした」として懲役4年を求刑した。
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