【特集】見せます!朝鮮学校のデジタル教科書
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朝鮮学校の教科書が、2018年からデジタル教科書に移行しています。日本各地の教育現場では、タブレットに搭載されたデジタル教科書を使用しながら、授業を受ける光景が増えてきました。朝鮮語の学習では、ネイティブの朝鮮語を聞く機会が増え、図画工作では、新しい空間美術に挑戦するなど、多様な学びを促す学習教材として使われています。本特集では、デジタル教科書の中味と制作意図、各地の教育実践を紹介します。
大図解!デジタル教科書
2018年から22年度にかけて、順次制作されたデジタル教科書には、紙の教科書にはない新しい
機能が搭載されています。国語(朝鮮語)、図画工作、音楽のデジタル教科書を紹介します。
2018年から導入、デジタル教科書
朝鮮学校のデジタル教科書は2018年4月から導入された。
デジタル教科書は、かつて紙媒体に載っていた学習内容をデジタル化し、新たに編集したもので、辞典、動画、音声といった学習教材が一体化されている。
14年に導入が決まり、17年度の試験期間を経て18年度から初級部高学年の国語(朝鮮語)、図画工作、音楽の3科目から順次、使用されている。国語は、18~20年度に初4、5、6が、図画工作は18年度に初4、5(2学年が一つの教科書で学ぶ)、19年度に初6、音楽は、19年度に初4、20年度に初5、22年度に初6でデジタル教科書が導入された。国語、音楽は紙の教科書と併用しており、図画工作はデジタル教科書のみ。
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【デジタル教科書でできること】
듣기(聞く), 말하기(読む)が充実
国語(朝鮮語)
【編さんのねらい】4技能(聞く・話す・読む・書く)を総合的に高め、児童・生徒たちの能動的な学びを促進させる。機能面では、ネイティブの発音、イントネーションなどに触れることができる音読機能、動画、会話教材を多く盛り込んだ。課ごとに学習目標を明確に提示し、学んだ内容の理解の程度を検証、評価するために役立つ副教材も掲載された。
特徴1
ネイティブのウリマルに接する
特徴2
動画で会話の練習も
特徴3
語彙・文法学習
特徴4
副教材で、より深く、幅広く
表現する喜びを
図画工作
【編さんのねらい】美術教育の目的―「作る」「表現する」「見る」活動を通じて、自ら作る喜び、造形的な創造活動の初歩的な能力を育て、豊かな感情、民族的情操を育てる。
児童たちが、より学びやすく、新しいことに積極的にチャレンジし、体験し、楽しみながら能動的な造形活動をできるようにする。
・動画、写真、音声
・鑑賞教材が充実
・制作工程を動画で
・アニメーション制作
・表現力、コミュニケーション能力
ウリ音楽で、情操と創造力育む
音楽
【編さんのねらい】音楽性を育み、美的情操とりわけ民族的情操と音楽的創造力を涵養する。教材ごとの教授目標と学習の手引きをより具体的に教科書に明記することで、教員と児童たちがその意図を理解し、教材を使いやすく、学びやすくした。デジタル教科書では音声および動画などの多機能を搭載することで、これらの目標達成をより効果的に促すようにした。
特徴1
範唱でアクティブラーニング
特徴2
朝鮮民謡の唱法を習得・表現
特徴3
楽器演奏を動画で
特徴4
鑑賞教材のコンテンツが充実
どう使う? 国語授業の現場を訪ねて
朝鮮学校の教育現場では、デジタル教科書がどのように使われているのか。川崎朝鮮初級学校(川崎市)と京都朝鮮初級学校(京都市)で朝鮮語科目の授業を取材し、担当教員の話を聞いた。
本場の朝鮮語にふれながら
川崎朝鮮初級学校
川崎初級で見学したのは初級部4年と6年の授業。教壇に立つのは校長の姜珠淑さん(53)だ。いずれのクラスでも、学期末でテストを控えた時期ということで、すでに学び終えた課の復習が行われていた。
まずは4年クラス。デジタル教科書を使った회화훈련(会話練習)の真っ最中だった。練習教材のタイトルは《전달할 때》(伝えるとき)。学校での児童同士の会話だ。
《오늘 체육시간에 뭘 한대?》(「今日の体育の時間、何するって?」)
《뭐 뜀틀 한다던지… 어째든 체육관에서 할거야.》(「跳び箱だって言ってたけど…。とにかく体育館でやるみたい)
教科書の画面が映し出された電子黒板から流れてくるお手本の音声は朝鮮語ネイティブによるもの。児童が2人一組で黒板の前に立ち、会話を披露する。
…
〝小さな発見〟こそ
京都朝鮮初級学校
京都初級で国語を教える南政岐さん(39)は教員16年目、デジタル教科書出版後、18年度には解説文、19年度には会話訓練、20年度には話し言葉、21年度にはさまざまな類型の教材で児童たちの自発的な学びをどう促すかに重点を置いた論文を書き、試行錯誤を重ねてきた。22年度は、初5の参観記(「朝鮮大学校を訪ねて」)、初6の紀行文(「平壌を回りながら」)の研究に着手。自らの授業法に限界を感じていただけに、授業に何が必要なのかを考えてきたという。訪れた日は6年クラスで第16課《동무를 사랑하라》(友だちを大切にしよう)という抒情詩を教えていた。
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〝よりよい学び〟のために
子どもたちの、よりよい学びを目指して作られたデジタル教科書。その制作意図を、教科書編さん委員会の教員たちに聞きました。
●何をどう学ぶ?目標と道筋明らかに
国語(朝鮮語)/孟福実さん
●創る喜び、最大限に引きだしたい
図画工作/成明美さん
●ウリ音楽、もっと身近に
音楽/崔成学さん
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