【イオニュースPICK UP】難民・移民を知り、応援するきっかけに /第3回「難民・移民フェス」開催
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5月20日、平成つつじ公園(東京・練馬区)にて、日本に住む難民と移民を知り、関わり、応援するチャリティフェス「難民・移民フェス」の第3回が開催された。「難民・移民フェス実行委員会」が主催し、約3600人が来場。第2回の約3倍の人が集まり、小雨が降り注ぐなか、会場は人の波で覆いつくされた。
実行委員会の金井真紀さん(写真家・イラストレーター)は、「今回、提供する食べ物が途中でなくなってしまうと心配になるほど、多くの方に集まっていただいた。入管法のことが心配で応援したい気持ちで来た方たちや、仮放免のことを知らない方たちなどさまざまな方に来ていただいた。多くの方がよりかれかのじょらを知るきっかけになれてよかった」と語った。
この日、会場には、チリやクルドをはじめとする世界各地の料理や手芸の店、難民・移民に関する書籍の販売など、約30の売店が並び、「仮放免」状態の人など約40人の日本在住外国人と外国人を支援する団体のメンバーらが協力し売店を盛り上げた。ステージ上では、ガーナの伝統的なジャンベ(太鼓)の演奏などが披露され、参加者はさまざまな国、民族の文化を楽しんだ。
この日、スタッフとして参加した学生団体ユースUNHCRのメンバーの高橋有希奈さん(20)は、「今回のイベントが、隣で生きる人びとを遠い存在ではなく、身近な存在として、対等な立場でお店を出し、協力し合えてすごくよかった」と感想を話した。
また、現場で外国人、難民支援を続けている大澤優真さん(社会福祉士、大学講師)がステージで発言。「今回の入管法改定案は難民申請を3回以上した人は、自分が逃げてきた国に帰らされるおそれがある。今日、ブースでいろいろ料理を作ってくれた方が、国に返されて、命を失ってしまう。私の友人・知人を殺さないでくれ」と切願した。
当事者の声
支援団体の呼びかけで参加し、売店で料理を提供したMさん(50代)は、3回の難民申請をすでに却下されている。入管法が改正された場合、強制送還の対象になるおそれがある。
母国にて宗教上の理由で過激派組織に狙われ、自らの命に危険が及び、以前長年住んでいたことがある日本以外に行くあてもなく、日本に逃げてきた。しかし、何度も書類にサインをし、いくら資料を提出しても、入管はいまだにMさんを難民として認めていない。一時は自ら命を絶とうとしたが、支援団体と出会い、支援を受けながら今は何とかその日暮らしをしている。
Mさんは、「自分だけではなく、こういった人がたくさんいる」と言う。
「今自分には何もなく、自分は人間扱いされていない。申請もよくわからないし、書類にサインするのを繰り返すが、結局入管はただ『帰れ』と言う」とし、「もう疲れた。ただ普通に暮らしたい」と訴えた。
この日は楽しく過ごした難民・移民の人たちの中には、普段働くこともできず、病院に行きたくとも行けず、住むところもなければ、生活保障や社会保障も受けられない人も少なくない。在留資格がなく入管の施設に収容された人が一時的に収容を解かれる「仮放免」の状態では、働くことは認められておらず、生活に困窮してしまう。さらに、日本の難民認定率は0.7%(2021)と非常に低く、申請をしても認められない人が大多数だ。
日本の入管体制は戦後、在日朝鮮人を「管理」し「監視」する目的でつくられ、植民地時代からの「蔑視」と「排除」の思想が連綿と続いている。専門家からは入管体制の「暴力性」や法務省の一元管理体制に対する批判の声が上がっており、特に今回の入管法改正案に対しては各地で多くの反対デモや集会が巻き起こっている。(文・写真:康哲誠)