【イオニュースPICK UP】市民の声で廃案に―入管法改悪反対杉並デモに約3500人
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5月7日、東京・杉並区で入管法改悪反対デモが行われた。「杉並から差別をなくす会」、一般社団法人「反貧困ネットワーク」などが主催し約100団体が賛同した。
出入国管理及び難民認定法(入管法)改正法案が4月28日に衆議院法務委員会で可決され、衆議院本会議で採決されようとする中、改悪反対の世論を高める目的で開催された。雨風が吹く中、デモ行進には約3500人が参加し、抗議の大きなうねりを生み出した。
デモ行進前に行われた集会では、瀬戸大作さん(反貧困ネットワーク事務局長)、石川大我さん (立憲民主党参議院議員)、安田浩一さん(ジャーナリスト)、金井真紀さん (難民・移民フェス実行委員会)、弁護士の指宿昭一さんらが登壇し発言を行ったほか、ウイシュマさんの2人の妹も駆けつけ、訴えかけた。
市民の声で―
瀬戸大作さん(反貧困ネットワーク事務局長)は、「法案が法務委員会で可決されて以降、当事者たちには動揺が走っている。2年前と同じように、市民の声の高まりで法案を食い止めたい。メディア、政治を動かすのは世論の力。私たちの願いはただ一つ、『我々の仲間を殺すな』と叫びたい」と言い、語気を強めた。
石川大我さん(立憲民主党・参議院議員)は、野党・支援団体・当事者の意見を集め作りあげた難民保護法を来週提出すると宣言したうえで、「『人の命を奪う法律』『死刑のボタンを押す法律』に反対し、2年前のように、もう一度入管法改正を止めましょう」と訴えた。
安田浩一さん(ジャーナリスト)は、「1918年、『外国人入国に関する件』という内務省令が公布されている。入管法の原型となるものには、『我が国の国益に反する外国人をいれてはならない』という文言がある。それが今も続いている。結局、入管法というのは外国人の人権を考えるものではなく、外国人を制限し、管理し、追い出すために機能している」とし、「人間の尊厳を守るため、皆さんで声を上げていきましょう」と語った。
デモ参加者は各々が作成した多様なプラカードや横断幕を手に持ち、入管法改悪反対の声を上げ、行進した。「移民を強制送還するな」「入管法は廃案だ」といった掛け声が長蛇の列のいたるところで鳴り響いた。
何が問題なのか―
今国会で日本政府は、2021年に市民の反対で廃案となった入管法改悪法案を、骨格を変えず、採決しようとしている。
改悪案をめぐっては様々な問題点が指摘されているが主軸を成すのは、難民認定申請者の送還停止条件の変更だ。現行法では、難民申請中の者を送還できなくなっているが、改悪案では難民認定の申請回数が3回目以降の者は申請中であっても「相当の理由」を示さなければ送還が可能となる。これにより、母国に帰ると身の危険がある人びとも送還される恐れがあるということで、抗議の声が吹き荒れている。この日参加した在日ミャンマー・ロヒンギャ難民のミョーチョーチョーさんは、「私たちは帰らないのではなく、帰れない」と怒りをぶつけ、日本の国民たちの声で止めることを訴えた。
日本の入管行政をどうするかは、人の尊厳に関わる問題であり、外国人の生きる権利を日本政府が保障するかどうかの問題だ。(哲)