【特集】70年目の7・27②文学でたどる戦場の生
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朝鮮戦争時、朝鮮では趙基天の長詩「朝鮮は戦う(조선은 싸운다)」(1951)、金史良の従軍記「ソウルから水原へ(서울서 수원으로)」(1950)など、今日も名作として名を馳せる数多くの文学作品が誕生した。
過酷を極めた戦時の朝鮮において、当時の作家たちが紡いだ小説、詩、歌謡などには、その多くに、戦渦を生き、戦う「普通の人民たち」のありのままの姿、情緒が表象されている。それらの作品は前線の戦士たちの戦いを鼓舞し、後方の人民たちの戦争支援への士気を高めた。そして現在を生きる私たちにも、「朝鮮戦争とは何であったか」を物語としてありありと見せてくれる――
7月号「70年目の7・27」特集②では、「文学でたどる戦場の生」と題して、朝鮮の戦時文学および停戦後に創作・発表された作品を紹介しています。
朝鮮大学校文学歴史学部の3人の教員たちより寄稿いただきました。
「前線」「後方」そして「停戦」という3つのテーマに沿って展開される本特集。
【前線】“君は死ぬのが怖くないのか?”(筆者:金正浩教授)
かつて在日同胞社会でも一世を風靡した朝鮮映画『月尾島』の題材となったファン・ゴンの小説『燃える島』を紹介しています。「君は死ぬのが怖くないのか?」―小説に繊細に描かれた登場人物たちのようすから、戦場を生きた人びとの「ありのまま」の姿に迫ります。
【後方】そこには生活が、歌があった(筆者:金真美准教授)
当時の朝鮮で数多く作られ、現在も歌い継がれている戦時歌謡にフォーカスします。後方で、戦士たちを支えた農民たちや女性たちの情緒が惜しみなく表象された戦時歌謡を通して、戦時の「生活」が垣間見える読み応えある論考となっています。
【停戦】取り戻した「日常」そして「誇り」があった(筆者:金正浩教授)
チョン・ムンヒャンの詩『鳥たちは森へ帰る』を紹介しています。詩に描かれる「森へ帰る鳥たち」は何を表すのだろう? 北南朝鮮における戦争を題材にした文学の相違点についても言及されており、北と南の「戦争観」の差異をも考えられる貴重な視点が凝縮されています。
朝鮮の文豪・石潤基の生涯も
特集ではさらに、洪潤実助教による朝鮮の文豪・石潤基の生涯についての論考「時代と戦争―文学の力で人民を守る」および、戦後に創作された朝鮮戦争を題材にした作品のあらすじ紹介「ズームアップ朝鮮戦争文学」を掲載しています。自身も朝鮮戦争で壮絶な経験をした後、中編小説『戦士たち』、長編小説『時代の誕生』などの名作を数多く世に残し、朝鮮文学のみならず朝鮮人民たちの「自主を守る」ことに貢献した石潤基の根底に流れる精神とは―― 読めば胸が熱くなることでしょう。
◇◇
3年間に及んだ朝鮮戦争。激しい攻撃によって、朝鮮は一面、焼け野原と化した。しかし、人びとは懸命に生き、戦っていた。戦争のさ中、前線で戦った人、後方で戦争支援にあたった人、そして停戦後の復旧建設に励んだ人…人びとはどのような思いを抱きどのように生きたのか。戦争と人民たちの生を文学でたどります。
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