【イオニュースPICK UP】 大学生たちの「トルパ」プロジェクト 関東大震災時朝鮮人虐殺/留学同西東京が学習会
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関東大震災時朝鮮人虐殺に関する学習会および交流会が、在日本朝鮮留学生同盟西東京地方本部(以下、留学同西東京)の主催で7月22日、東京都内で行われた。
現在、日本各地の留学同の在日朝鮮人学生と日本人学生が主体となり、「トルパ(돌파,朝鮮語で「突破する」と言う意味)プロジェクト―朝鮮人虐殺の歴史を記憶し朝鮮人差別に反対する朝日大学生一大行動」(以下、トルパプロジェクト)が進められており各地で学習会や集会が予定されている。
留学同西東京主催で初の取り組みとなった今企画では、朝・日の学生たちが参加。関東大震災朝鮮人虐殺問題を現在にも連綿と続く朝鮮人差別の問題と捉えて議論を行い、ヘイトが蔓延する日本社会で、大学生たちがいかに行動していくべきかについて参加者が意見を出し合った。
学習会では、留学同西東京で作成した資料をもとに、関東大震災発生以前の日本の朝鮮植民地統治からはじまり、虐殺の実態、現在の歴史否定とヘイトの問題などを学習し、写真を通じて当時の虐殺の状況について参加者らが考えを巡らした。
学習会後には、「(当時の日本人は)どのような感覚で朝鮮人を扱ったのか」「当時と現在では、在日朝鮮人をめぐる社会の根本が変わっていない。現在の状況から未だに在日朝鮮人の存在が軽んじられていると感じる」などの意見が飛び交った。話は関東大震災虐殺から始まり、東京都や日本政府がいかに事実をゆがめてきたのか、そして朝鮮人が帰国事業で帰った記念碑を地元の西東京地方見つけた話や、西東京で行われてきた在日朝鮮人に関する写真展の話などを共有しあった。
トルパプロジェクトの実行委員を務める留学同西東京の徐郁任さん(大学4年)は、高校の頃に自分が朝・日の親の下で生まれたダブルルーツだということを知った。現在は朝鮮名を名乗る徐さん。議論のなかで徐さんは「日本では過去の植民地支配の清算が行われておらず、自分たちの存在が認められていない。さらには監視の対象になっており、今でも自分たちは死んでもいい人間だと思われていると思う」と思いを吐露した。交流会を終えて徐さんは、「西東京で同胞学生を多く集めつつ、これからも日本人学生とのつながりを途絶えないようにし、日本人学生とともに交流できる場をつくっていきたい」と意気込んだ。
大学院生の女性は、大学1年生の頃に長崎で朝鮮人被爆者追悼碑を見て、「なぜここに碑があるのか」という疑問を持ち、そこから日本の加害の歴史について向き合ってきた。かのじょは「昨年に安倍首相の襲撃事件後、SNS上で犯人探しがされたり、非常事態になる度につねに在日朝鮮人が矢面に立たされている。朝鮮人だということを差別をする根拠にしてはいけない。歴史を否定することで今を生きる在日朝鮮人たちを否定することになる。歴史を見つめ直す必要があり、虐殺から100年が経ったからといって決して忘れられてはならない」と話した。
留学同西東京地方本部副委員長の朴梨香さん(22)は「日本人学生たちとともに学習し交流することで、いい刺激を得ることができた。留学同内でも学習をより深めていかなければならないと感じた」と話す。そのうえで、「今回の学習会が、これからまだ関心を持てていない日本人学生にも知らせていくための最初のきっかけとなった」と語った。
留学同西東京では今後、関東大震災に関する学習会のほかにフィールドワークを行う予定だ。また、在日朝鮮人の存在を多くの日本市民にも知らせていくために朝鮮学校の見学なども考えているという。
トルパプロジェクトとしては、8月21日にデモ・パレードを新宿で、集会を文京区民センターで予定している。(文・写真:康哲誠)
▽各地のプロジェクト(今後開催予定)
・7月30日/特別展示会(東京 文京シビックセンター)
・8月初旬/映画上映会(大阪 大阪公立大学)
・8月19日/映画上映会及びプチ学習会・交流会(兵庫 三宮周辺)
・10月13日(予定) 近畿連続シンポジウム(京都 同志社大学)
・10月21日/上記イベント(大阪 大阪公立大学)
・11月4日/同上(兵庫 関西学院大学 上ヶ原キャンパス)