【イオニュースPICK UP】東京MX制作局長と面談 朝鮮学校報道を問う有志の会
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東京MXテレビ「堀潤モーニングFLAG」の朝鮮学校報道(6月19日)において同番組のコメンテーターが東京都の「私立外国人学校教育運営費補助金」や高校無償化について誤った事実を伝えたことに関連し、「『堀潤モーニングFLAG』朝鮮学校報道を問う有志の会」がTOKYO MX側に公開質問状を提出した(7月13日)問題で、同26日、東京MX側の要請で「有志の会」との話しあいの場が東京都千代田区の同社で設けられた。
「有志の会」からは早尾貴紀・東京経済大学教員と山本かほり・愛知県立大学教員が、東京MXからは編成制作本部編成局の城田信義制作局長が対応し、1時間にかけて話しあった。
早尾、山本両教員は、「朝鮮学校への就学支援金や、地方自治体の補助金が停止されていることは、関連法や補助金の要綱に反しており差別だ」と主張。
とくにはインターナショナルスクールなどと違い、朝鮮学校は、日本の朝鮮植民地支配によって日本暮らしを余儀なくされた在日朝鮮人によって建てられた学校で、朝鮮半島が南北に分断される前から教育が行われてきた歴史を踏まえて報道をしてほしいと訴えた。
また、東京都の「私立外国人学校教育運営費補助金」は、「各種学校認可を得た外国人学校の運営」に対して補助されるものであり、子どもへの直接補助でなく学校に対する補助であることは制度上の規定であり、同制度は、「教育条件の維持向上」や「修学上の経済的負担の軽減」などを目的とするもので、学校への補助は結局のところ、すべての子どもたちの学びに直結するものだと説明。
「子どもへの直接補助ではなく、学校への補助制度だから、カットされても子どもの学ぶ権利に無関係であるかのようなコメンテーターの発言は、まったくの事実誤認だ」として、この点をしっかり認識し、補助金制度への理解を正してほしいと訴えた。
早尾教員は、「朝鮮学校への補助金停止が、東京都こども基本条例に反しているという点を提案したことは重要な問題提起だった。しかし、朝鮮学校の経営の良しあしが補助金支給の条件かのような発言は明らかに間違いだ。朝鮮学校はしっかり都に報告してきた」と主張。質問書に対する文書回答と、HPに社として問題の経緯や立場を明記することなどを求めた。
山本教員は、「話の中で、朝鮮学校をめぐってはいろんな意見があり、それを紹介したとの説明があったが、事実を踏まえない発言や『両論併記』は差別の拡大再生産につながる。番組を制作する側が何を伝えようとして、どんな準備をしたのかを今一度しっかり考え、朝鮮学校をめぐる報道を準備してほしい」と語る。
城田編成局長は、「回答するかも含めて検討する。今後も教えていただきたい。取材は続けていく」と答えた。
「『堀潤モーニングFLAG』朝鮮学校報道を問う有志の会」による公開質問状https://onl.la/7GwBGtm
は、TOKYO MXの伊達寛社長、「堀潤モーニングFLAG」の堀潤メインキャスターに宛てられたもので、7月4日に呼びかけ後、12日時点で1096人の賛同が集まった(うち韓国からが160)。
番組では、メインキャスターの堀潤さんが、東京都内の朝鮮学校を訪れ、老朽化した校舎を映像で紹介した後、子どもをめぐる教育環境の改善を願う教員のコメントを紹介。高校無償化や都の補助金制度から朝鮮学校が排除されていることが、「子どもの権利を保障する観点から問題ではないか」と問題提起した。
しかし、コメンテーターの大空幸星、河崎環、茂木健一郎氏らの発言が続き、「子どもへの直接補助になっていない」「朝鮮学校の経営が下手くそすぎる」「子どもを盾にして卑怯」(いずれも大空氏)といった発言を通じて、朝鮮学校差別を正当化。結果的に差別を是認、助長した。
質問状は、▼東京都の「私立外国人学校教育運営費補助金」カットが学校にどれほど負の影響を及ぼしたのかを一顧だにせず、朝鮮学校側に責任を押し付けようとする発言についてどう認識するのか、▼番組を準備するにあたり、日本政府や自治体が朝鮮学校を高校無償化制度や補助金制度から排除していることに対して、国連の人種差別撤廃委員会などの国際人権機関から是正勧告があることを伝えているのか―など9点について聞いている。(文・張慧純)