【イオニュースPICK UP】虐殺の国家責任認定と真相調査を 関東大震災朝鮮人虐殺から100年、朝・日大学生が都知事に要請
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関東大震災時の朝鮮人虐殺の事実認定と真相調査の実施および朝鮮人虐殺犠牲者追悼式典への追悼文送付を求めて「朝鮮人虐殺の歴史を記憶し、朝鮮人差別に反対する朝・日大学生一大行動」実行委員会(以下、実行委員会)が8月23日、東京都庁を訪れて都知事宛の要請書を提出した。
朝・日大学生による実行委員会が今年5月に発足して以降、朝鮮人虐殺の歴史を記憶し、朝鮮人差別に反対する朝・日大学生一大行動「トルパ(突破)プロジェクト」として、これまで日本各地でさまざまな取り組みが行われてきた。8月21日に行われた新宿でのデモ・パレードには150人、その後行われた集会では170人の参加者が集った。
この日は、要請に先立ち、実行委員のメンバーらが都の担当者にそれぞれの思いの丈を語った。
実行委員の尹寿仁さん(慶応義塾大学4年)は「追悼文の送付を6年前の2017年から都知事が行わなくなり、犠牲者みなを公平に追悼する旨の発言をしていたが、全員が天災によって命を失ったわけではない。人の手によって殺められたという歴史的事実を踏まえて、考えていただきたい」と訴えた。
その後、実行委員らにより要請文が読み上げられた。実行委員会とその他賛同者一同による要請文は、関東大震災朝鮮人虐殺から100年が経とうとする今も、「真相調査、賠償責任は果たされておらず、その歴史的事実は国家や行政により隠ぺい・歪曲され、日本人が朝鮮人を虐殺したという史実はなかったものにされてい」るとし、都としての姿勢は「官民一体の朝鮮学校や在日朝鮮人に対する差別・迫害を助長しており、在日朝鮮人に対するヘイトスピーチやヘイトクライムは蔓延してる」と指摘した。
要請文は、このような社会状況の是正のために、①虐殺が国家や行政、警察や軍によって引き起こされたものであることを認め、都内の被害実態に対する真相調査を行うこと、②都知事が「関東大震災朝鮮人虐殺100年東京追悼会」宛に「追悼の辞」を送り、そこに歴史的事実の認定と真相調査の実施および追悼の意を込めること、③都として朝鮮学校差別をはじめとする在日朝鮮人差別政策やヘイトスピーチ、ヘイトクライムの発生防止に努め、在日朝鮮人の民族的権利を保障することを求めた。
要請書を受け取った東京都政策企画局総務部知事秘書の廣田淳担当課長は「内容については都知事、そして関係各局に伝える」と話した。
トルパプロジェクトでは今後も10月から11月にかけて近畿地方でシンポジウムと講演会を行う。またプロジェクトのウェブサイトも作成し、研究資料や追悼碑の情報、研究成果などを掲載していく予定だ。(文・写真:康哲誠)
要請書の全文は以下の通り。
2023年8月23日
東京都知事
小池百合子 さま
朝鮮人虐殺の事実認定と真相調査の実施及び
朝鮮人虐殺犠牲者追悼式典への追悼文送付に関する要請書
関東大震災の発生から今年で100年が経ちます。
100年前この地では国家や警察、軍や市民たちの手で6600余名の朝鮮人が朝鮮人であるだけで殺されるというジェノサイドが起こりました。
100年経った今でも真相調査、賠償責任は果たされておらず、その歴史的事実は国家や行政により隠ぺい・歪曲され、日本人が朝鮮人を虐殺したという史実はなかったものにされています。
東京都では2017年に小池百合子東京都知事が関東大震災朝鮮人犠牲者追悼式典への追悼文送付を拒否することによって、東京都が朝鮮人虐殺の史実を歪曲・矮小化していることが顕在化しました。その姿勢は今日まで続いており、今年も追悼文を送らない方針が発表されました。
このように東京都の政策として行われている歴史歪曲、歴史否定は植民地主義の温存とも言い換えることができ、100年前に直接殺された朝鮮人のみならず現在を生きる在日朝鮮人の尊厳をも奪っています。
前述のような東京都としての姿勢は、官民一体の朝鮮学校や在日朝鮮人に対する差別・迫害を助長しており、在日朝鮮人に対するヘイトスピーチやヘイトクライムは蔓延しています。
現在の日本社会で在日朝鮮人が自己のアイデンティティを育むことは困難を極め、民族的尊厳を持って生きることは非常に難しい状況です。
このような社会状況の是正のためにもわたしたちは以下の三点を求めます。
一、関東大震災時の朝鮮人虐殺が国家や行政、警察や軍によって引き起こされたものであることを認め、東京都内の被害実態に対する真相調査を行うこと。
一、東京都都知事が「関東大震災朝鮮人虐殺100年東京追悼会」宛に「追悼の辞」を送り、そこに歴史的事実の認定と真相調査の実施及び人為的に亡くなることとなった被害者とその遺族に対する追悼の意を込めること。
一、東京都として朝鮮学校差別をはじめとする朝鮮人差別政策やヘイトスピーチ、ヘイトクライムの発生防止に努め、在日朝鮮人の民族的権利を保障すること。
以上
朝鮮人虐殺の歴史を記憶し、朝鮮人差別に反対する朝・日大学生一大行動実行委員会
他、賛同者一同
連絡先 tolpa.1923@gmail.com