学校と共に歩む 枝川朝鮮学校支援都民基金第19期総会と学習会
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枝川朝鮮学校支援都民基金第19期総会及び学習会が9月30日、東京都江東区の東京朝鮮第2初級学校(以下、東京朝鮮第2)で行われ、都民基金のメンバー、日本市民ら55人が参加した。
第1部では都民基金の総会が同校の図工室で行われ、同校の金斗植校長があいさつした。総会では2022年度の活動、会計、監査報告、また「ミレ・枝川朝鮮語講座」の活動報告、2023年度の活動方針が発表された。
第2部では学習会が行われた。「『東京都こども基本条例』から朝鮮学校を考える」というテーマで松原拓郎弁護士(井の頭法律事務所、東京弁護士会所属)が講演を行った。
松原弁護士はまず朝鮮学校に対する東京都の補助金不支給問題の経緯、東京都こども基本条例の意義などについて説明した。
松原弁護士はまた、子どもの最善の利益が大事だとしながら、こどもの権利条約の重要性についても解説した。
松原弁護士は「こどもたちを誰1人として取り残してはいけない。子どもたちのために何ができるかを大人が多数決で決めるという枠組みはあってはならない。大事なのは子どもの権利条約に明記されている子どもの最善の利益の確保、こどもに対するあらゆる差別の禁止、生命・生存・発達への権利及びこどもの意見の尊重という一般原則と全ての子どもが誰一人取り残されることなく、将来への希望を持って伸び伸びと健やかに育っていく環境を整備していかなければならないという基本理念に沿って全ての子どもたちのために政策を推進していくことだ」としながら、「朝鮮学校の子どもたちへの補助金給付を停止していることについて、『支給は都民の理解が得られない』という東京都の説明はあり得ない」と強調した。
松原弁護士は講演の終盤で、朝鮮学校の子どもたちに対する支援の「子どもの権利」としての意義は、基盤となる安心・安全な子ども時代や、受け入れられながら徐々に大人になっていくプロセスの保障、子どもの多様な「育ち」の保障だと話した。
総会、講演会の後には焼肉交流会が行われた。
枝川朝鮮学校支援都民基金の共同責任者の1人である中村雅子さん(72)は同団体はコロナ禍の期間を除いては2003年から毎年東京朝鮮第2で総会、学習会を行い、また同校に対する支援活動も欠かさず行ってきたとしながら、「都民基金は2003年12月から2007年3月まで続いた同校の土地を巡る裁判(枝川裁判)の支援をきっかけに発足された。その裁判以降も東京朝鮮第2に対してさまざまな支援を行ってきた。2008年には学校の新校舎建設のための募金活動を行い、2012年には同校に遊具、スクールバスを寄贈するなどの支援活動を行ってきた」と話す。
中村さんは「講演会やコンサートなどの行事を開催するたびに多くの支持者の方々が参加してくれる。ヘイトスピーチがなくならない日本社会の中でも朝鮮学校を支援しようという人たちがいるということを実感している」と語る。
中村さんは「今までと同様に支援活動を続け、ヘイトスピーチがない社会を目指していきたい」と言葉に力を込めた。
東京都内では今後、10月20日に子どもの「人権」勉強会&シンポジウムin立川がたましんRISURU小ホール(立川市民会館)で行われる予定だ。
参加者のコメント
朴梨美さん(42、東京朝鮮第2オモニ会役員)
「日本の方々が朝鮮学校を支援する姿勢を直接見たく、また松原弁護士の講演を聞くために今回参加した。きょうの講演を通じて東京都こども基本条例があるということを知った。まず知ること、そこから行動を起こすことが重要だと思った。日本の方々と地域の同胞たちが一緒に声を上げていくことが大事だということも実感した。日本の方々が朝鮮学校を支援する姿を見て感動した。オモニ会も一緒に学校を支援していきたい」。
須澤めぐみさん(50)
「今日初めて朝鮮学校の校舎に入り、児童・生徒たちが学校生活をおくる姿を見た。自分自身にとっていい機会になった。すこし前に中村一成さんが書いた『ルポ京都朝鮮学校襲撃事件――〈ヘイトクライム〉に抗して』と『朝鮮学校物語1.2』を読み、朝鮮学校の子どもたちに対するいろいろな思いがこみ上げた。在日朝鮮人に寄り添い、朝鮮学校を一緒に守っていくという思いを持って今日の行事に参加した。これから行事があれば積極的に参加し、在日朝鮮人の方々とつながっていきたい。