vol.21 卑怯者たち
広告
高いフェンスに護られた無機質な建物に向かい、子どもたちが、壁の向こうに声を届けようと、力の限りに飛び上がりながら手を叩き、叫んでいた。「オッ、オッ、オッ、オー、ウーカンオノー」「ニュカンオノー」「ニューカンホーノー」……。言葉として聴き取れない不揃いの絶叫に、しだいに耳が追いつき、音が日本語になってくる。「入管法NO、NO、NO、入管法NO」のコールだった。
※ ※ ※
東京MXテレビで6月19日に放送された情報番組「堀潤モーニングFLAG」で、朝鮮学校に対する無償化や補助金制度からの排除が取り上げられた。司会の堀潤氏が子どもの権利の観点から問題提起すると、コメンテーターの一人、大空幸星氏は「経営が下手くそ」などと発言、公的ヘイトの中で学校を運営する苦境を学校側の「経営努力の欠如」にすり替え、こう放言した。「子どもたちを盾にするっていうのが僕は一番卑怯だという気がします」。河崎環氏ら他のコメンテーターもこれに同調、その差別性と事実誤認は正されぬまま、番組は終わった。
番組は朝鮮学校の歴史性や意義を無視し、それを一貫して潰そうとする差別者の側から学校側を誹謗していた。学校支援者が公開質問状で認識を質したが、大空氏は謝罪も撤回もせず、堀氏も一連の発言を差別ではないと擁護、自らの冠番組内での発言にケジメを付けず、学識者らが求める話し合いにも応じていない(9月6日現在)。
MXは、沖縄の反基地運動を暴力集団呼ばわりし、辛淑玉さんを「黒幕」と誹謗中傷したデマ番組「ニュース女子」を放送し、在日、沖縄差別を煽った前歴がある…。(続きは月刊イオ2023年10月号に掲載/定期購読のお申し込みはこちらへ。https://www.io-web.net/subscribe/。