【イオニュースPICK UP】朝・沖から東アジアの平和を捉える 朝鮮統一支持運動第41回全国集会 国際シンポ
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シンポでは朝鮮新報の金淑美記者の司会の下で、東アジアの反戦・平和構築について登壇者たちが語った。
ビデオ出演したブライアン・ベッカーさん(反戦反人種差別行動ANSWER事務総長)は、米国の軍事戦略を説明したうえで、朝鮮が核兵器を保有せざるを得なかった背景を話した。そして、平和へのプロセスを阻害する米国の軍産複合体などの既得権勢力全体の動きを止めるために、米国内を根本的に変革しなくてはならないと強調。米国の反戦運動と日本、韓国、そしてアジア全体の運動の間に連帯を築くことを訴えた。
中国現代史研究者の朱建栄さん(東洋学園大学客員教授)は「台湾有事」の虚構性と、中国の戦略から連想される朝鮮半島の平和と統一について語った。「台湾有事」論が日本の防衛政策の攻撃的転換の根拠になっている一方で、中国では鄧小平時代以降、「一つの中国」の枠内で台湾が合意すれば、独自の政治制度を維持してよいことを中国政府は繰り返し主張してきたことを説明。朝鮮半島の統一問題と台湾問題を「冷戦時代の産物」と位置づけ、中国の視点で朝鮮半島の平和統一についてのべた。
これまでもさまざまな場で沖縄の加害と被害について触れてきた目取真俊さん(小説家・活動家)は、11月21日の夜中に沖縄県で発令されたJアラートについて、朝鮮の「脅威」をさらに煽るメディアと県知事の責任を問いただした。また、沖縄における自衛隊の強化を沖縄戦という視座と現在の日本の防衛戦略から捉え、さらに在沖米軍の変化とその矛盾についてものべた。最後に、日本が朝鮮や東アジアの国々を政治的に敵対視していようとも民衆レベルでの交流を大事にし、それを沖縄が率先して行うことを訴えた。
最後に報告した李英哲さん(朝鮮大学校外国語学部日本語学科教授)は、2023年が朝鮮戦争停戦70年、関東大震災朝鮮人虐殺から100年の年だが、朝鮮戦争は停戦状態が続いていて、関東大震災時の虐殺についても日本で植民地主義が継続しており、歴史否定がはびこっている社会状況を指摘。(目取真さんの著書『沖縄「戦後」ゼロ年』になぞらえて)常に新たな戦前・戦中であり、朝鮮戦争、関東大震災朝鮮人虐殺から「ゼロ年」であると主張した。そして在日朝鮮人と沖縄人に対する継続する植民地主義の問題を朝鮮半島の平和統一と関連させて説明した。
各登壇者の発表後に行われたデスカッションでは「朝鮮半島と東アジア、沖縄をとりまく国際情勢と平和を阻害する要因について」「朝鮮半島と東アジア、沖縄の平和構築における民衆レベルの課題について」という2つのテーマで議論がなされた。
シンポに続いて芸能公演が行われ、朝鮮文化と琉球文化が披露された。東京朝鮮歌舞団と福岡朝鮮歌舞団による歌と踊りに参加者たちは朝鮮半島の統一を想い、目を細めた。一方で沖縄の国際通り青年会による伝統と新しい発想を融合させた力強いエイサーに胸を高鳴らせた。最後は長い「統一列車」が会場を疾駆した。
シンポに先立ち、25日午前中には県外からの参加者を対象にフィールドワークが行われた。
各登壇者の発言とデスカッションの詳細については本誌2024年1月号をチェックしていただきたい。(文・写真:康哲誠)