米軍新基地建設に抗い 辺野古発・沖縄の今
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環境破壊、基地の強化
「辺野古ではすでに環境破壊がどんどん進んでいる」。基地建設に反対する海上抗議船の船長を務める金井創さん(69)は、筆者が同乗したボートの上で、変わり果てた海を見つめながら語る。
辺野古新基地建設はなぜ行われているのか。1995年に米兵3人による少女暴行事件をきっかけに県民の怒りが沸点に達し、大規模な県民大会が開かれた。沖縄の民意を無視できなくなった日米両政府は翌年、県内の11の米軍施設の返還に合意。しかし、普天間飛行場を含む7施設は県内「たらい回し」とされた。そして、普天間飛行場の辺野古への移設の方針が決まり、那覇防衛施設局(現沖縄防衛局)が2004年から移設事業に着手した。
「辺野古の大浦湾だけでも、約5300種類以上の生き物がいる。多様性に富んだ、世界でも珍しい海だ」と金井さん。「サンゴの専門家を含まない政府機関がサンゴ移植を追認したが、移植されたサンゴはすでに8割が死滅していると言われている」と顔をしかめて語った。さらに、ジュゴンやウミガメが食べていた海草が生い茂る場所も工事で埋め立てが進められ、産卵場だった浜からウミガメが姿を消していった。
ボートで移動したのは「辺野古側」と言われる埋め立て区域が見えるところ。すでに辺野古側は陸地からの埋め立てをほとんど完了しているという。この日は潮の関係で渡れなかったが「大浦湾側」の海底には緩く軟らかい「軟弱地盤」が広範囲に分布しており、改良工事を行ったとしても地盤沈下が懸念されている。さらに、「活断層」の存在も指摘されている。倍増していく工事の予算と時間、潤っていくゼネコンや利権者など問題は山積みだ。民意に反して12月28日、大浦湾の軟弱地盤の改良工事(2020年に沖縄防衛局が県に申請)を国土交通省が県知事に代わって承認する「代執行」が強行され、今年1月10日に工事が始まった。
「普天間基地の危険性除去」を口実に進められる辺野古での工事は「移設」だけに留まらない。金井さんは「滑走路だけの普天間に対して、辺野古には弾薬搭載エリア、軍艦が横付けできる軍港も新設される。陸海空をつなぎ、何倍にも機能が強化された新基地になる」と危機感をあらわにした。
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以上が誌面からの抜粋です。記事全文は月刊イオ2月号本誌をご覧ください。
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