ハルモニたちの歴史を記録する―インタビュー/『アリラン ラプソディ』 金聖雄監督
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神奈川県川崎市に住むハルモニたちをフィルムに収めたドキュメンタリー『アリラン ラプソディ~海を越えたハルモニたち~』が公開中だ。本作の監督である金聖雄さん(60)に制作の経緯や作品に込めた思いについて聞いた。
【きむ・そんうん】1963年、大阪・鶴橋生まれ。『花はんめ』(2004年)でデビュー。主な作品に『空想劇場』(2012年)、『SAYAMAみえない手錠をはずすまで』(2013年)、『オレの記念日』(2022年)など。
―なぜこの作品を撮ろうと思ったのか
私が川崎に通い始めたのは1999年から。川崎に住む1世のハルモニたちは、日本に渡ってきて、読み書きもできない中で苦労して70歳、80歳まで働きづめだった。地域の取り組みとして識字学級が立ち上げられ、98年には高齢者交流サークル「トラジの会」ができる。歴史的背景も踏まえたうえでハルモニたちを地域で支えていこう。そんな時期のハルモニたちを撮影したのがデビュー作の『花はんめ』(2004年)。ちょうど99年に私の母が亡くなっている。母のルーツやそれまでの人生についてもっと聞いておけばよかったという思いもあり、ハルモニたちを撮り始めた。
今回の作品を撮ろうと決意した直接のきっかけは、2015年に川崎の桜本であったハルモニたちの戦争反対デモ。『花はんめ』を撮り終えた後も桜本に通っていたが、とくに続編を考えていたわけではない。2015年、当時、国会で審議されていた安保法制に対し、ハルモニたちが戦争反対のデモをすると聞いて、撮影に向かった。
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