【イオニュース PICK UP】差別を一刻も早くなくすために 赤羽駅で朝鮮学校支援者ら街頭宣伝
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5月18日、JR赤羽駅東口広場で朝鮮学校に対する差別反対を訴える街宣行動が行われ、在日本朝鮮人人権協会の宋恵淑さん、都内の朝鮮学校支援団体のメンバーたちが参加した。
今回の街宣は5月30日に北とぴあ(北区)で行われる予定の「朝鮮学校補助金の復活を求める都民集会~18421筆の都民の声は止まらない~」の告知と同集会への参加呼びかけ、朝鮮学校に対する東京都の補助金支給再開と2021年に施行された「子ども基本条例」の誠実な実行を求め、この問題を東京都民に広く知ってもらおうという目的の下で行われた。
参加者たちは1時間にわたってマイクを持ってのアピールとビラ配り、道行く人びとに声をかけて、ポスターにメッセージを書いてもらうための呼びかけを行った。
アピールの場では朝鮮学校の支援者、児童・生徒の保護者たちが発言した。まずマイクを持った長谷川和男さん(高校無償化からの朝鮮学校排除に反対する連絡会共同代表、サランの会代表)は次のように話した。「朝鮮学校に子どもを送る親たちは日本国民と同じ税金を収めている。しかし朝鮮学校に補助金は支払われず、公的補助から遠ざけられている。これが差別でなくて何なのか。私たちは朝鮮学校の子どもたちが明るく元気に学べる当然の権利を享受できるように支援団体のメンバーとして活動を続けてきた。東京都から朝鮮学校にはもう14年間、補助金が支払われていない。朝鮮学校の財政が大変な困難にあり、この困難の中で学校運営は大変厳しい。また、朝鮮学校への補助金支給停止に加えて東京都が打ち出した給食費無償化からも朝鮮学校は排除された。これはおかしいことだ。私はこういった差別を何としても打ち破るという思いで闘ってきた。東京都のみなさんもぜひ、5月30日に行われる集会に来て、私たちの訴えを聞いてほしい」。
続けて林明雄さん(朝鮮学校とともに歩む練馬の会)が発言した。林さんは「朝鮮学校の存在、また朝鮮学校が受けている差別の実態をみなさんに知ってもらいたい。そしてこのような差別を一刻も早くなくすためにともに声を上げていきたい」と語った。
また林さんは「2010年から始まった高校無償化制度から朝鮮学校が排除されて14年が経つ。また2019年から始まった幼保無償化制度からも朝鮮幼稚園が排除されている。国がこのような姿勢を取っている影響で地方自治体でも軒並み補助金を凍結する動きが続いている。東京都は不支給の理由について『都民の理解が得られないため』という言い訳をしている。この問題は国連からも日本に対して勧告が来ているにも関わらずそれを無視している。私たちは国籍関係なく、すべての子どもたちが一緒に安心して暮らせる社会を目指していきたい。ともにこの問題について考えていこう」と語った。
板橋区在住の渡辺千鶴さん(東京朝鮮第3初級学校とともに歩む会)は「朝鮮学校だけに補助金を停止しているのは東京都が打ち出したこども基本条例にある『すべての子どもたちに』という理念に明らかに反している。私たちは当たり前のことを当たり前のこととして通していくために今日この場で街宣を行っている。私たち市民の声で東京都政を変えていき、都知事に補助金を復活させるために一緒に声をあげていこう」と熱く語った。
また同じ支援団体で活動する田中造雅さんも発言した。田中さんは「子どもたちは国籍やバックボーンが違えど、同じ都民だ。今、この国では朝鮮学校だけを公的補助から除外しているという現象が起きている。これは明らかに差別である。日本社会で起きている差別を変えていくためにともにこの問題について考えてほしい」とのべた。
また朝鮮学校保護者を代表して宋恵淑さん(在日本朝鮮人人権協会事務局)が発言した。宋さんは2022年に赤羽駅のホーム上に貼られていた横断幕に「朝鮮人コロス会」という落書きがあり、これを発見した朝鮮学校の生徒が「恐ろしいことだった」と言っていたこと、また埼京線の車内で日本人が朝鮮学校生徒に対して暴言を浴びせ、足を踏みつけたことについて触れ、次のように訴えた。「子どもたちが安心して、自分らしく生きていけるように東京都が2021年にこども基本条例を作った。しかし東京都はこの条例ができた後も未だに朝鮮学校に対する補助金を停止している。こうした仲間はずれを見て見ぬふりしないでほしい。朝鮮学校に通っている子どもたちも東京都民であり、守られるべき、尊重されるべき子どもたちだ。同じ日本に住む、東京都に住む仲間として差別を受けている朝鮮学校の子どもたちの現状を知ってほしい。5月30日の集会にぜひ足を運んで、私たちとともに朝鮮学校の子どもたちのこと、日本に住むすべての子どもたちが生き生きと自分らしく暮らしていける社会を作っていくためにみなさんとともにこの問題について考えていきたい」。
最後に国立市議会議員の上村和子さんが発言した。上村さんは「赤羽駅を通行している日本学校の生徒たちが街宣を通じて朝鮮学校のことを知り、『差別はいけないことだ。私たちはみんな同じ子どもたちで、仲間だ』というメッセージを寄せてくれたことに希望を感じた。大人は子どもたちの未来を用意していく義務がある。私たちは在日朝鮮人の仲間たちとともに朝鮮学校の子どもたちの命を日本学校の子どもたちと同様のかけがえのない命として守り、それを保障する仕組みを実現するために都民として今後も都知事に訴えていく」と語った。
街宣活動に参加した宮村明利さん(「ハムケ・共に」メンバー)は「1時間の間にいろんな人が発言したが、発言の中には朝鮮学校の問題だけでなく、日本と朝鮮との関係の歴史的背景についても触れられていた。補助金の支給対象から朝鮮学校が除外されている理由をさまざまな背景から考えるためにも今日、道行く人たちへアピールできてよかった。このようなアピールを続けていけば耳を傾けてくれる人たちも増えていく。私も5月30日に行われる集会に足を運び、今後も朝鮮学校の問題に支援団体メンバーとして取り組んでいく」と語った。