社会的マイノリティ、だからこそ見える世界/NHK朝の連続テレビ小説『虎に翼』 朝鮮文化考証担当者インタビュー
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大阪産業大学国際学部准教授・崔誠姫さん
現在放送中のNHK朝の連続テレビ小説『虎に翼』(以下、朝ドラ)が話題だ。主要登場人物に朝鮮からの女子留学生が登場するだけでなく、在日朝鮮人1世の描写や今なお続く差別の問題を真っ向から描いたシーンもある。本作で朝鮮文化考証を担っているのが、大阪産業大学の崔誠姫准教授だ。在日コリアンであり、女性であり、大学の准教授。絡み合う立場から、貴重な言葉を紡いでくれた。
―朝ドラの時代考証にはどのような経緯で携わることになったのですか
今からちょうど1年前、本作の演出を担当している方から連絡を受けたのが始まりです。次期朝ドラ主要人物の一人に、1930年代の朝鮮人女子留学生を登場させたいので協力してほしいと。他の歴史研究者たちが私を紹介してくれたとのことです。
周りにもさまざまな作品に時代考証で携わっている方がいますが、私自身は初めてでした。日本で朝鮮の近現代史を研究するなか、まさかこのようなオファーが来るなんて。驚きと同時に非常に意義を感じ、引き受けました。
―映像作品における時代考証の仕事について具体的に教えてください
制作陣が事前に調べた資料を精査したり、俳優たちの役作りのため、登場人物のバックグラウンドを設定する作業などにもあたります。本作の主要な登場人物である、朝鮮からの留学生・崔香淑(ハ・ヨンスさん)の場合は、あの時代―1938年頃に朝鮮の女子留学生が高等試験(現在の司法試験)を受けられたのかどうかも考証しました。実際、一握りのエリートではありますが、資格を満たせば朝鮮人女性であっても日本の高等教育機関に入学が可能でしたし、33年の弁護士法改正によって高等試験を受けることが可能になりました。
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チェ・ソンヒ●1977年北海道出身。大阪産業大学国際学部准教授、専門は朝鮮近現代史。東京女子大学文理学部史学科を経て、一橋大学大学院社会学研究科博士課程修了、博士(社会学)。著書に『近代朝鮮の中等教育―1920~30年代の高等普通学校・女子高等普通学校を中心に』(晃洋書房、2019年)。今秋には『女性たちの韓国近現代史』(慶應義塾大学出版会)が刊行予定。
写真提供=NHK
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