【イオニュース PICK UP】「学ぶ権利は平等」「補助金支給再開を」 / 日本人有志、朝鮮学校関係者ら千葉県へ要請
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2011年から打ち切られている千葉朝鮮初中級学校に対する補助金(千葉県立私立学校経常費補助金)の支給再開を求め11月13日、千葉朝鮮学校を支える県民ネットワーク(以下、千葉ハッキョの会)、千葉・朝鮮学校を支える会、朝鮮学校「無償化」排除に反対する連絡会(以下、無償化連絡会)、I女性会議、朝鮮学校関係者ら総勢20名が千葉県庁を訪れ要請活動を行った。
2010年に施行された高校無償化制度から朝鮮学校が除外されて以降、千葉県を含め各地方自治体でも朝鮮学校への補助金の減額や支給打ち切りが続いている。
この日の要請には千葉県総務部学事課の職員4人が対応した。要請の場ではまず千葉ハッキョの会の榮永正之事務局長と千葉・朝鮮学校を支える会の坂本雄一郎代表委員が要請の趣旨を発言した後、それぞれの会の要望書を学事課長に提出した。
千葉ハッキョの会の要望書は、日本国内で朝鮮学校が街頭宣伝やSNSによりさまざまな誹謗中傷などの妨害で存続が危ぶまれる状況にあることに触れながら、その状況を生んでいるのは政府や自治体だと指摘。また朝鮮学校が高校無償化から2013年に完全に除外され、それに続いて学生支援緊急給付金から朝鮮大学校が除外され、2019年開始の幼保無償化からも朝鮮幼稚園が除外されているとのべた。さらに、2016年の文科省通知によって各地の少なくない自治体が朝鮮学校に対する補助金を凍結または減額している中、千葉初中への補助金支給も打ち切られたままであり、その結果として学校運営が危機的状況にあることにも触れた。そのうえで県に対して、▼県の経常費補助金を早急に支給するとともに、来年度に向けて予算化すること、▼千葉初中を教育環境整備費等補助金の支給対象とすること、▼保護者への助成も実施すること、▼教職員研修のための補助金も助成することを求めた。
千葉・朝鮮学校を支える会も、2016年8月に千葉県弁護士会が朝鮮学校への補助金停止に反対する会長声明を発表したことなどを挙げ、「千葉初中の子どもたちの教育を受ける権利を保障することは同じ地域に暮らす県民の義務であり、このような状況に鑑み、早期に補助金支給が再開されることを要望する」とした。そのうえで県に対し、千葉ハッキョの会と同様の内容を求めた。
これを受けて学事課側は、「補助金の再開にあたっては当然ながら県民の理解が必要であり、その理解がないと補助金の再開は難しい」と回答した。
次に当事者からの訴えがあった。千葉初中の康静恵校長は朝鮮学校が日本に存在している経緯を説明しながら、「朝鮮学校は朝鮮人としてのアイデンティティを育てる唯一の場所だ。日本で生まれた朝鮮人の子どもたちは朝鮮学校で自身のルーツを学んでいる。また朝鮮人としての誇りを持ちながら、日本社会で日本人と共生し、日本社会で活躍できるような存在に育てていくというのが朝鮮学校の教育だ」とのべた。
「日本の支援団体のメンバーたちが学校のためにカンパを募り、学校で使う備品などを買ってくれている。本来、それは国や自治体からの助成金で賄うものだ。また校門が壊れたまま、その修繕費も賄えないので、心ある日本市民が自腹でそれを直してくれた。これに関しても県からの補助があってもいいのではないのかと常々思っている。学校の運営はとても大変だ。アボジ会、オモニ会がバザーやチャリティーゴルフコンペなどで得た収益を学校の運営費に充てている」。康校長は学校が置かれた厳しい実情を切々と説明しながら、県職員に向けて「在日同胞たちの心の拠り所である朝鮮学校に補助金を出していただきたい」と訴えた。
千葉ハッキョオモニ会の皇甫美和会長(46)は、「オモニたちは少しでも子どもたちのために、学校のためにと毎週のようにキムチ販売を行っている。どの国の親も子どもたちを思う気持ちは一緒だと思う」と述べた。また、「自分たちのアイデンティティを学び、守りたいという気持ちの何が悪いのか。子どもたちにはなんの罪もない。朝鮮学校の子どもたちも、みなさんの周りにいる子どもたちと何も変わりもない」と述べた。
「昨年、3年ぶりに開催された千葉ハッキョのバザーには1000人以上の同胞、日本人が集まった。このように地域に密着した学校を差別するのはいかがなものか。県は正しいことをしているのかもう一回考えてほしい。どんな子どもたちにも学ぶ権利は平等にある。補助金支給の再開を検討していただきたい」。皇甫会長は目に涙を浮かべながら思いを吐露した。
千葉ハッキョオモニ会の朴明和副会長、自身の子を千葉ハッキョに送る予定だという金明孝さん(在日本朝鮮千葉県青年商工会幹事長)、無償化連絡会の佐野通夫共同代表などからも発言が続いた。学事課側は当事者の訴えに対して、「今回いただいた要望書と当事者たちからの訴えは県知事に報告する」と語った。
最後に千葉ハッキョの会の廣瀬理夫共同代表が今後も県に対して要請を行っていく決意を表明した。
文、写真:金盛國