2024年の朝鮮―内外政策の現在地
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世界で戦争はなぜ起きるのでしょうか。2024年10月、金正恩総書記は「朝鮮半島における戦略的な力の均衡の破壊は、すなわち戦争を意味」(国防総合大学での演説)するとのべています。2018年4月の板門店宣言以後に展開された首脳外交が、米国の居丈高な態度によって決裂した後、朝鮮の政策は「力」で平和を担保する方向に転じました。つまり、米国の軍事脅威に対して「力の均衡」を維持しうる国力を備えることに、すべての内外政策が向けられているのです。
李柄輝 ●朝鮮大学校教授
―朝鮮の国家発展戦略
朝米首脳会談決裂後、国力強化へ
韓国の文在寅大統領との板門店首脳会談の一週間前に開催された、朝鮮労働党中央委員会(以下、党中央委)第7期第3回総会(2018年4月20日)は、核・ミサイル活動を凍結させ経済建設に集中するとの新路線を打ち出しました。その際の決定書には「社会主義経済建設のための有利な国際環境を整備し、朝鮮半島および世界の平和と安定のために周辺国や国際社会との緊密な連携と対話を促進させる」と明記されています。
―対南政策の転換とその背景
〝戦争は現実的な実体〟
米日韓の軍事的一体化のなかで
外交政策では、西側との関係改善方針から中国・ロシアをはじめ社会主義・第3世界諸国との連帯を通じて、世界の自主化・多極化を推進する反帝勢力の結集を目指す本来の線への回帰が顕著となっています。
―朝鮮の外交政策
自主化・多極化を志向
ロシアと戦略的パートナーシップ
金正恩総書記は、23年12月末の党中央委第8期第9回総会拡大会議において北南関係を「敵対的な二つの国家」と規定し、「『吸収統一』『体制統一』を国策として定めた大韓民国の連中とは、いつまで経っても統一は成就しえない」として、建国以来の国是ともいえる祖国統一とその対象である南側への政策の大転換を宣言しました。
―朝鮮半島平和への道筋
朝鮮国連軍の〝再活性化〟
東アジア市民社会の力こそ
24年11月の米大統領選挙でトランプ氏の当選が確定しましたが、その政権移行チームが金正恩総書記との直接会談を検討しているといいます。
ですが、金正恩総書記は、「米国とともに協商走路の行きつくところまで行ってみたが、その結果、確信したのは超大国の共存への意思ではなく、徹底した力の立場と依然変わらぬ侵略的かつ敵対的な対朝鮮政策」(24年11月21日、武装装備展示会開幕式での記念演説)であったとのべています。
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以上が記事の抜粋です。全文は本誌2025年1月号をご覧ください。
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