千里馬クラブが悲願の「日本一」
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トライを決める千里馬(エンジと白のユニフォーム)
第32回全国クラブラグビー大会で優勝
文:全基一(朝鮮新報)、写真:盧琴順(朝鮮新報)
低迷期を乗り越え
千里馬は公式戦の出場が認められなかった大阪朝鮮高級学校ラグビー部(当時)のOBを中心に1980年に結成された。クラブチームの日本一を争う全国クラブラグビー大会に、近年は3年連続で出場しているが、過去には13大会連続で出場したこともあり、第1回、第4回大会では準優勝するなど、その実力は折り紙付きであった。
しかし、2000年代に入って大阪朝高が高校ラグビーで全国屈指の強豪校に成長するにつれて、同部に所属する選手たちは、日本の強豪大学を経てトップリーグ(現・リーグワン)を目指すようになった。同部出身選手たちの「受け皿」としての役割を果たしていた千里馬は、次第に人数も減少し、18年には初めて近畿クラブリーグBに降格するなど低迷に苦しんだ。
千里馬はチームの再起を図り、21年に体制を一新。「同胞も日本のラガーマンも憧れるチーム」を築くため、「必ず3年で日本一」を合言葉に選手たちの意識改革に着手した。その過程で、国籍や年齢、経験を問わず千里馬のラグビーや理念に共感したラガーマンも受け入れた。同年に近畿リーグAに昇格すると、翌22年にはリーグで全勝優勝し、15回目の全国大会出場を果たす。同大会に9年ぶりの出場ながらも準優勝の成績を収め、古豪復活を知らしめた。
そして昨年9月に開幕した近畿リーグAでは3年連続で全勝優勝し、3連覇を達成するとともに、全国クラブラグビーに3大会連続の出場を決めた。

優勝の喜びあふれる選手、スタッフたち
悲願の初優勝を目指して臨んだ今大会では、1月19日の1回戦で富士五湖クラブ(山梨県)に61―10で大勝。続く2月2日の準決勝では、宇都宮VOLTʼS(栃木県)を41―20で破り、2大会ぶりの決勝進出を決めた。
「今季はチームの成熟度が非常に高い。過去3年間で経験した近畿リーグ3連覇と、2回の全国決勝進出が選手たちの自信につながっている」と語るのは千里馬の元監督の韓裕樹さんと権英秀さん。申し分のなかった千里馬の実力に経験と自信が備わったと見る。
監督、選手たちもまた、今季の戦いぶりを通じて優勝への手ごたえを感じていた。
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以上が記事の抜粋です。全文は本誌2025年4月号をご覧ください。