尼崎朝鮮初中級学校
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尼崎朝鮮初中級学校
今月のウリハッキョ
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「4・24」の精神受け継ぐ学び舎
「心・知・徳・体・響」を育てる
兵庫県内でも有数の同胞集住地域である尼崎市立花町に建つ尼崎朝鮮初中級学校は昨年、創立65周年を迎えた。チャリティゴルフコンペや愛校祭など各種の記念行事が催されたほか、学校改築事業の第1弾として2階から4階までのトイレ改修工事が行われた。新年度からは講堂の新設、校舎外壁および内装の補修など第2期工事の着工も予定されている。
「わが校は4・24教育闘争の精神が息づく学校。そのような歴史と伝統を受け継いでいきたい」と李汪健校長は話す。同時に、新たな時代に即した学校づくりにも取り組んでいる。その思いは、同校が掲げるキャッチフレーズ、「共に受け継ごう、我らの歴史を! 共に歩もう、我らの未来へ!」にも表れている。
目指すのは、統一祖国と在日同胞社会、地域社会に対する貢献精神と能力の土台、「真の国際人」としての土台を育成することだ。従来の「知、徳、体」に加えて、民族的アイデンティティと愛校心を表す「心」、同胞社会への貢献のみならず日本社会ともつながろうという意味を込めた「響」を、児童・生徒たちが備えるべき資質として掲げている。
力を入れているのはウリマル教育や民族的アイデンティティの涵養。楽しく、根気よく、自ら学ぶ姿勢を育むのがモットーだ。ハングル検定、漢字検定、英語検定などでは毎年多くの児童・生徒が合格している。読書活動を奨励しているのも特徴の一つ。また初級部を対象に、2時限目と3時限目の間の休み時間(20分)を体力向上のための各種スポーツの時間にあてている。
クラブ活動も盛ん。初級部はサッカー部とバレー部、舞踊部、中級部はサッカー部、バスケ部、バレー部、吹奏楽部、舞踊部だ。
中級部のサッカー部は昨年の中央体育大会で3位。市の新人大会でも17年ぶりに優勝し、その後の阪神大会でも準優勝、同部の歴史上初めて県大会への出場を果たした。バレー部は昨年の在日朝鮮中級学校バレーボール選手権と中央体育大会で準優勝。男女のバスケ部も強豪だ。吹奏楽部と舞踊部も伝統ある部で、さまざまな発表会や演奏会に出演している。
保護者や地域同胞社会によるサポートも活発。オモニ会では、キムチ販売や月に1回の「オモニ給食」などに取り組んでいる。兵庫県青商会は県下の初級学校の入学生全員に制服と体操服をプレゼント。地元の尼崎西青商会も同校付属幼稚班の新園児に体操服を贈ったり、運動場の遊具のペンキ塗りを行っている。
同校は昨年、創立65周年事業の一環として学校のエンブレムを制定した。児童・生徒からデザインを公募し同校の美術講師が完成させたもので、11月の愛校祭で初めて披露された。千里馬をモチーフにしたエンブレム。2頭の馬は学校と同胞、保護者と子ども、教員と子どもがともに歩む関係を表し、翼に描かれた3つの星は学校・生徒・保護者、幼稚班・初級部・中級部を表しているとか。
4階建ての校舎には常に子どもたちの元気な声が響き渡る。李校長は、「取り巻く環境が厳しいのは事実だが、学校と保護者、地域社会が一丸となって未来を見すえた学校づくりをしていきたい」と語っていた。