閲兵式と祝砲夜会
広告
この間、平壌で金日成主席生誕100年を祝う朝鮮の国家行事にいくつも参加し、取材をしてきました。
とくに4月15日は、閲兵式に祝砲夜会と大きな行事が続きました。
閲兵式では私を含めた参加者全員が、金正恩最高司令官の演説を聞きました。
―今から金正恩最高司令官が演説をする、そのことを知った瞬間、私は思わず横に立っていた人と目を合わせて「?!」と言わんばかりの表情を交わしました。
春の陽ざしとやわらかい風が吹く静けさの中で、最高司令官の声だけが響きわたっていました。
約20分間の演説でした。明快な言葉の中に核となる内容が詰まっていて、心の奥深くに響くものがありました。
演説の中で、わが党と共和国政府にとって、平和はこの上なく大事である、しかしわれわれには民族の尊厳と国の自主権がより大事である、という内容がありました。
私はこの内容に深く共感しながら、民族の一員としての敬意をもって閲兵式を見ました。
今から100年前の朝鮮の姿は、自国を守るすべを持たず列強の植民地と化した悲しいものでした。しかし、こんにちにおいては強い国防力を持った国へと発展を遂げました。
その事実が、閲兵式全般を通じて伝わってきたと思います。
夜は祝砲夜会がありました。始まる1時間半ほど前に到着したのですが、すでに河辺には人がいっぱいでした。
事前に「この位置から写真を撮ろう」と目をつけていた撮影ポイントがあったのですが、もう人で埋め尽くされていて立つ場所もなかったので、急きょ撮影場所を探すことになりました。
「ミヤナムニダ(すいません)」と言いながら座っている人々の間をかきわけ、大同江畔の船着場のすぐ近くの少し出っ張ったコンクリートの上で撮影することに決めました。
待ち時間が1時間ほどありましたが、ずっと立っていた私たちを見て、若い男性が「疲れるだろうからこれに座って待ちなさい」と自分が座っていた大きめの石を貸してくれました。
そうこうしているうちに辺りが暗くなり、ドーンという音とともにチュチェ思想搭の上空に花火があがりました。
花火があがった瞬間、人々から「わー!」と歓声が起こりました。「ほら、あそこの花火を撮らないと!」と、私にアドバイスをくれる人もいました。
カメラ越しにのぞいた人々の表情はとても明るく、こちらまで笑顔になりました。
余談ですが、行事の取材の際には朝鮮のメディアの記者たちともよく会います。顔なじみになると、立ち話をしたりもします。みな本当に優しく、写真を撮る時にハシゴを譲ってくれたり、いろいろと世話をやいてくれます。(里)