コヒャン
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コヒャンという響きが好きです。ウリノレの題名にも多く使われていて、曲の旋律とともに叙情的な雰囲気が感じられるからです。イオ8月号では、在日の「故郷(コヒャン)」についての特集をします。色々な話を聞いたり調べたりしながら、私も自分の故郷について改めて考えるいい機会になっています。
私の故郷は忠清南道です。私のアボジは長男で下に2人の妹がいるのですが、それぞれの夫のアボジもともに忠清南道の出身。つまりハラボジの代に遡るとみんな故郷は同じで、各々日本に渡ってきて別々の人生を歩んだ後、親戚になったんです。故郷が忠清南道というのは同胞社会ではわりと少ないという話を聞いたので、なんだか不思議な縁を感じていました。しかし偶然は重なって、大学ではクラスメイト18人のうち私を入れて3人の故郷が忠清南道。さらに4年のときに担任をしてくださった先生までも忠清南道でした。あ、あと初めて先輩について取材に行ったときも相手の方が忠清南道で…正直、忠清南道が少ないというのが本当か疑わしくなってきましたが…。それでもやっぱり、故郷が同じだとそれだけで「わ~!!」と嬉しくなってしまいます。
ハラボジは私が生まれる前に亡くなってしまったので、故郷についての話を聞くことはありませんでした。特集の原稿を読みながら、自分にとって故郷とはなんだろうという問いを常に投げかけています。具体的な実感や体験はありませんが、確実に自分のルーツとなる場所。そう思うと故郷について考えたり、思いを馳せてみることをおろそかにしてはいけないな、と感じます。
故郷とはある人には思い出で、ある人には憧れで、ある人には(私みたいに)共通事項であり、またある人には日常的なことなのかもしれません。十人十色の「故郷観」。読者の方々も一度故郷について考えてみてはいかがでしょうか。イオ8月号、楽しみに待っていてください。(理)