西播朝鮮初中級学校
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今月のウリハッキョ西播朝鮮初中級学校 創立:1946年6月26日 |
校庭のポプラの木がシンボル
まっすぐな子どもたちが育ってます
1946年に創設され、兵庫県南西部・播州地域全てのウリハッキョとの統合を経て、2001年に現在の学区となった。東西に幅広い地域から児童・生徒たちが集まる同校。初級部と付属幼稚班の全児童・園児は通学バスで登下校するため、運動不足対策として、子どもたちは学校に到着するなり一斉にグラウンドをぐるぐると3周回る。西播ハッキョのユニークな朝の光景だ。
同校では、民族教育を通じて子どもたちの豊かな民族的アイデンティティを育み、「知・徳・体」を兼ね備えた同胞社会と国際社会で活躍できる人材の育成を教育理念に掲げている。李相元校長(40)は「子どもらが西播ハッキョを誇りに思えるよう、学業、クラブ活動など、学校生活全般を盛り上げていきたい」と語る。
とくに近年は児童・生徒たちの学力向上に重点を置き、中でも朝鮮語の読み書きに意欲的に取り組んでいる。初級部では国語の教科書を書き写す宿題が日課。月に1度「ウリマル発表会」を行い、自然な話し言葉を身につける。
また、児童・生徒たちが持ち回りでパーソナリティを務める「ウリマル放送」を毎日行っている。お昼休み、主にウリマルの会話を披露したり、誕生日を迎えた生徒へのお祝いや注目の児童・生徒にインタビューなど、アットホームな校内放送が学校中に響く。
中級部では通常の授業以外にも課外授業、各種検定試験、学校独自に行う学期に一度の実力テストなど、学力の底上げを目指す。
クラブ活動は、中級部のサッカー、バスケットボール、バレーボール、舞踊、吹奏楽部、初級部のサッカー、バレーボール、舞踊、器楽部。初級部低学年でも「コマトンネ」と称した、民謡や長短などで民族的情緒を育む放課後課外活動の場を設けている。
幼稚班では、ウリマルでの会話や生活習慣、集中力や発想力、学力の基礎を作るための保育と、毎日の運動あそびに色んなステップを取り入れながら、身体のバランスと体力向上に積極的に取り組んでいる。
そんな児童・生徒たちの学校生活を支えるのが、保護者や地域の同胞たち。オモニ会ではキムチなどの飲食物販売の売り上げで学校の財政を支援。校庭のポプラの木にちなんで「ポプラ室」と名付けられた児童休憩室や多目的室、図書室の整備も行った。アボジ会でも校内の施設管理や補修に取り組んでいる。
地域社会との交流も盛ん。近隣の姫路市立荒川小学校、姫路市立飾磨西中学校とは1992年に姉妹校提携を結んで以来、交流は20年にも及ぶ。子どもらは互いの学校を行き交いながら、音楽会や餅つき大会、田植えなど、年間を通して様々に交流を深めている。とりわけオモニ会が行う出張授業は、朝鮮料理教室、民族衣装や楽器の体験と多彩な内容で好評を博し、他校からも依頼が多く寄せられているのだとか。地域青商会のチャリティ行事を通じた支援活動は、学校にとどまらず地域の福祉団体に車椅子を寄贈するなど、地域社会に根を張った活動を展開している。
毎年11月に行われる「愛校節」は地域最大の同胞イベントとして親しまれ、学校創立66周年を迎えた昨年は1200人もの同胞、日本人で大いに賑わった。同校では、創立70周年を見据え、生徒・児童数300人台を目標に掲げ、児童受け入れの取り組みにも力を注いでいる。