わたしは、Twitterをやめました
広告
最近、「人間」という言葉が胸につかえています。
小説を書く場合、「人」は一個人という意味合いで使うけれど、「人間」は世の中・社会・世間・人情・世情が絡んでくる場合にのみ使っています。
「人」との「間」が、人と人との関係において最も重要なのではないかと、わたしは思うのです。 自分と他者とのその「間」は、主観としては自分を他者から隔離する「溝」や「裂け目」と感じられることもあり、そこから疎外感や孤独感が生まれるわけですが、「間」を「間」として客観視することによって自分と他者の姿が立ち現れます。 互いに自分と相手の差異をはっきりと認める時はじめて、「人」との「間」を縮められる可能性が生まれるのです。
他者にいきなり顔を近づけ、唾を吐きかけたり、体当たりしてくるような「侵害」や「差別」や「侮蔑」は、「人」との「間」を客観視できないゆえの行為だと断じていいと思います。
わたしは、一週間ほど前にTwitterをやめました
リュウ・ミリ●作家
1968年生まれ。神奈川県出身。鎌倉市在住。1993年、「魚の祭」で第37回岸田戯曲賞受賞。1997年、「家族シネマ」で第116回芥川賞受賞。2008年10月、朝鮮民主主義人民共和国を訪問。近著に「自殺の国」がある。