私たちと故郷
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私たちと故郷
コヒャン―在日同胞にとって、特別な意味を持つ言葉です。しかし同時に、その意味は世代ごとに変化しています。1世が慕情の念を抱き、重んじてきた故郷。では、2世や3世、さらに4世にとってはどんな意味を持つのでしょうか。特集では、在日同胞にとって故郷とは何なのか、様々な「故郷観」を通して考えます。また、地理的条件や道民性など、各道の特徴についても紹介します。
在日同胞にとっての<故郷>
故郷は自分の意思で選びとるもの―
黄英治●作家
私の故郷紹介します
トンポたちの故郷が様々なら、故郷に対する気持ちや思いでもまた十人十色です。自分にとって、故郷とは何なのか。8人のトンポたちに紹介してもらいます。
●受け継がれる、故郷への墓参り
崔大龍(47歳、2世、仮名)
●二人の女性と私のコヒャン
洪里奈(25歳、3世、ソウル在住)
●自分のルーツが刻まれた場所
金永燦(40歳、3世、北海道在住)
●再び故郷の土を踏んだアボジ
金正浩(34歳、2世、埼玉県在住)
●3つの故郷
卞怜奈(31歳、3世、大阪府在住)
●手紙がつないだ故郷との縁
朱桂子(64歳、2世、千葉県在住)
●ノハンメの味、平壌冷麺
張知世(26歳、4世、兵庫県在住)
●「強く生きろ」と教えてくれた
徐蓮玉(43歳、3世、大阪府在住)
秘密の道民show
「忠清道人はのろま」? 「慶尚道人は怒りっぽい」…? 日本に県民性があるように、トンポたちの故郷にも様々な「道民性」があるはず。ここでは出身者の多い南側を中心に地域ごとの特徴や小噺、方言などを紹介。人々の気質や風習を知ることで、また違った故郷の一面が見えてくるかもしれません。
慶尚道~保守的な北道、開放的な南道
京畿道・ソウル特別市~政治、経済、文化の中心地
江原道(南)~美しい自然と心優しい人々
全羅道~反骨精神の地、芸術と美食の都
忠清道~穏やかな気風、ゆったりとした両班気質
済州道~「三多」「三無」「三宝」の島
1世に聞く、故郷への思い
異郷暮らし半世紀、「心はいつも故郷に根ざしていた―」
日本による朝鮮植民地統治下、亡国の苦しみを背負い玄界灘を越えて日本に渡ってきた在日朝鮮人1世たち。1世たちがいつの日か帰ることを夢見て、異国の地で一生涯心に描いた故郷の情景とはどのようなものだったのか。その望郷の思いとは。東京・荒川区の朴在洙さんに語ってもらった。
朴在洙さん:1929年、慶尚南道・巨済島に7人きょうだいの長男として生まれる。19歳で渡日。東京朝鮮第4初中級学校などで15年間教鞭をとった後、日本各地の朝銀信用組合や総聯支部に勤め、総聯東京都本部副委員長を務めるなど、総聯の専従活動家としてその半生を捧げてきた。
在日同胞の故郷訪問/保守政権発足後に厳しく制限、韓国籍にも圧力
朝鮮籍者の入国シャットアウト
朝鮮半島分断による政治的対立という壁に長らく阻まれてきた朝鮮籍在日朝鮮人(以下、朝鮮籍者)の故郷訪問は、2000年の6.15北南共同宣言によって大きく道が開かれた。