南武朝鮮初級学校
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南武朝鮮初級学校
創立:1946年11月/児童・園児数:49人(29世帯)/学区:川崎市北部/JR溝の口駅から徒歩15分
財政の健全化、児童数増へ、楽しく同じ目線で
3月2日の日曜日。パラパラと小雨の降る天気だったが、南武朝鮮初級学校(川崎市)の体育館は熱気にあふれていた。この日は、アボジ会主催の引退試合。2週間後に卒業する6年生たちと、アボジ、オモニたちがフットサルとバスケの試合をする!という元気いっぱいのイベントが開かれていたからだ。
「アボジ、オモニたちは、ケガのないように」と笑いながら試合開始を告げる林浩忠アボジ会長(43)。気合いでぶつかってくる高学年生たちとアッパ、オンマたちは手を抜くどころか、ガチンコ勝負!大人たちも清々しい汗をかいていた。
試合が終わった後には、オモニたちお手製の豚汁とおにぎりが振舞われ、子どもたちは、ニッコリ笑顔。翌日の口演大会の試演会も行われ、両親たちにとっては子どもの成長を垣間見る楽しい1日となった。
運動場には、木の枝がトラックに積み上げられていた。アボジ会が伐採したものだ。同校のアボジたちは度々、学校の掃除や力仕事を買って出る。ブラウン管テレビの撤去、下水の掃除など、今年度は3度も行ったそうだ。労働奉仕は他でもやっていることだが、本校アボジたちの参加率が高いのは、日ごろのコミュニケーションの賜物。他の地域から来たアボジたちが溶け込めるよう、月1、2回のアボジサッカーや飲み会を通じて、交流を深めている。アボジサッカーは、OBたちのクラブもあるそうで、ハッキョでの出会いが生涯の付き合いに発展している話も心温まるものだった。
昨年、神奈川県下のウリハッキョは、県の補助金停止、川崎市長の補助金削減表明という試練にぶち当たった。火の粉が降りかかる中、オモニ会では、理解ある市議会議員の学校訪問や、県の国際交流イベントの場でウリハッキョを積極的にアピールしてきた。「市議がハッキョに来る時、若いオモニたちが駆けつけてくれた。その行動力に感動したし、一緒にいる、それだけで心強かった」と裵香徳会長(39)。
オモニ会は、地元のJリーグチーム・川崎フロンターレに在籍する安柄俊選手のファン感謝デーでも、スジのスープ、ピビンメンなどを完売するパワーを発揮。給食やキムチ販売にも取り組んでいる。
南武初級の保護者たちは今、児童・園児数の増加と財政の健全化をめざし、学校支援に取り組む。運営を担当する理事会の8割は保護者。2013年度は予算の20%を占めた県の補助金を穴埋めするため、予算を見直し、賛助金集めやチャリティコンペの成功に奔走した。会長代行の李成大さん(39)は、「理事だけでなく、保護者たちに同じ目線に立ってもらうことが大事だと思います。いつまでも同胞たちの賛助金には頼れないし、教職員の負担も限界。神奈川県に住む同胞を一人でも多く探しあて、児童数を増やしたい」と意気込む。県の青商会副会長でもある李さんは、南武ハッキョをアピールするため、埼玉、千葉、東京、遠くは関西にも出かけた。
学芸会、運動会、夏祭りの時は、就学前の子どもを持つ保護者や近隣の市民に積極的に声がけし、学校を紹介している。