新しい街
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11月でこの街に住んで3年になる。住まいを変えるのは、大げさな表現だけど人生で6度目。将来的に子どもが徒歩で学校に通えるようにと選んだ場所だった。
物件回りをしていた当時、「ここだ!」と引越を決めたのは、ある日曜日の夕暮れのことだった。大きい道路が近くに通っているのがひとつの不安材料ではあったけど、100メートル先に公園と内科があり、また、どこか静かで懐かしい空気が漂っていたことが安心感を呼んだ。
住んでよかったと思うのは、隣近所に恵まれたこと。お花や木の植え方を教えてもらったり、お孫さんのおふるをいただいたり、子どもを自分の孫のように真剣に叱ってくれる。年末の餅つきに呼んでいただいた際は、みんなでワイワイと本当に楽しかった。幼い頃、隣の叔母さんがおはぎを作るたびに分けてくれて、できたての味を楽しんだ思い出があるけど、それに似たようなやさしい気持ちに包まれた。
最近の楽しみは、三人乗りの自転車で街を探検すること。
それにしても土地勘、というものがまだ働かない。先日も息子がK駅近くの「タイヤ公園に行きたい」というので大きい道路を進みながら一つ、二つと寄り道していると、駅の反対側に出てしまった。もともと道に迷いやすい性質なので、自分を疑いながら歩みを進めてはいたけれど、案内人なしの私に「地図なし」はやはり厳しかった。目的地は線路沿いになるので、どうにか踏み切りを捜し当て、ようやくたどり着いた。「公園遠いね」との息子の嘆きに焦りを覚えつつ、迷うのは方向感覚がないからだ、と反省…。
この街の名所の一つといわれる力道山の墓にもまだ行っていない。まだまだ探検スポットはありそうだ。その前に地図を頭に叩き込まないと…。(瑛)