大阪で遭遇した台風21号
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6月18日の大阪府北部地震、7月の西日本豪雨、7月~8月にかけての記録的な猛暑、そして9月4日の台風21号、そして6日未明の北海道胆振東部地震と、3ヵ月足らずの期間に大規模な自然災害が相次いで日本列島を襲った。
最近の台風21号では11人が亡くなり、292人が負傷、北海道胆振東部地震ではこれまでに39人の死亡と600人以上の負傷者が確認されている。
短期間にこれだけの大きな自然災害が集中的に起こるのは前例がないのではないだろうか。
台風21号が日本列島を襲った際、私は台風上陸ど真ん中の大阪にいた。
その日の昼頃から新幹線で広島へ移動する仕事スケジュールを立てていたのだが、この日中に大阪に戻ってくる必要があったことなどさまざまな事情を総合的に考慮して、結局広島行きをキャンセルした。現地で予定されていた仕事は現地の協力を得て済ませることができた。
その日は一日中ホテルに缶詰めになりながら原稿を書いたりしていたのだが、昼過ぎから天気が一変し、猛烈な雨と風が襲ってきた。部屋の窓越しからでもそのすさまじさがわかった。部屋を12階の高層階に取っていたのだが、部屋にいても風でビルが揺れているのが体感できた。今年初めに建てられた新しいビルが(いくら強いとはいえ)風で倒壊することはありえないとはわかっていても、建物が揺れれば怖い。食料その他を買い込むためにホテルから20~30メートル先のコンビニまで行こうとしたのだが、建物の外に出た瞬間、強風で看板やら自転車やら傘やらが四方から飛んでくるような状況にさすがに恐怖を感じ、すぐホテルへ引き返した。
これまで東京やその周辺地域で台風に遭ったことは何度もあるが、電車が止まって通勤or帰宅難民になるくらいで、身の危険を感じたことはほとんどなかった。しかし今回は、外に出てみて、大げさではなく本当に命の危険を感じた。
この台風被害によって、翌日に大阪市内で取材のアポを取っていた人が海外から日本に戻ってこられなくなり、取材を中止せざるをえなくなるなど仕事のスケジュールにも少なくない悪影響があった。その人は北京から関空に4日夜に戻ってくるはずが、結局7日夜まで北京に足止めされてしまったという。関空の被害状況を見ればそれもいたしかたないが、当の本人たちからすると災難以外の何物でもないだろう。「ご愁傷さま」としか言いようがない。
台風がやってきて公共交通機関がストップすると、これまでは「なぜ止まる? 早く動かせ!」と心の中で毒づくこともあったが、今回を機にその考えを完全に捨て去った。自然災害の際は安全第一でストップさせるべきだし、無理して仕事場に行く必要もない。命あっての物種だ。(相)