DMZトレインに乗り白馬高地へ
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十二月四日に、わたしは、小説家の李浩哲さん(八十二歳)と美術評論家の金貞卜さん(四十七歳)と、ソウル駅からDMZトレインに乗りました。昨年八月一日に開通したばかりのDMZトレインは、ソウル駅と江原道鉄原郡にある白馬高地駅を結ぶ路線です。
DMZトレインの乗客は、わたしたち三人以外は「安保(安全保障)学習」の中学生三年生と引率の教師たちでした。中学生たちは、スナック菓子を食べながら立ち歩いたりオンラインゲームをしたり、スマートフォンで自撮りをしたりしているうちに羽目を外し、男子は腕立て伏せの回数を競い合い、女子もスマートフォンから音楽を流して通路で踊ったりするようになりました。
リュウ・ミリ●作家
1968年生まれ。神奈川県出身。鎌倉市在住。1993年、「魚の祭」で第37回岸田戯曲賞受賞。1997年、「家族シネマ」で第116回芥川賞受賞。2008年10月、朝鮮民主主義人民共和国を訪問。近著に「自殺の国」がある。