【特集】朝鮮と向き合った日本人
広告
朝鮮に対する蔑視や差別意識が蔓延し、日々強化されている日本。朝鮮半島と日本の長い歴史の中でさまざまな側面から朝鮮と深い関わりを持った日本人たちがその当時、朝鮮について何を語り、何をしてきたのか、それは両者にとってどのような意味を持つものだったのか。先人たちの足跡から、歪んだ朝鮮観を是正する道を探る。
底流にある侵略と蔑視の思想
近代日本の朝鮮観~幕末から朝鮮解放まで
日本の近代国家としての歩みは朝鮮に対する侵略と表裏一体の関係にあった。江戸時代末期から1945年の敗戦(朝鮮解放)まで、朝鮮との関わりが深く、政治・社会・文化的な面での影響力の大きい代表的人物の思想を取り上げ、日本人の朝鮮観の変遷をたどる。本稿の前半では、幕末から1910年の韓・日併合条約まで、朝鮮に対する侵略を推し進めた代表的人物の思想を取り上げる。後半では、1910年から45年まで、日本の朝鮮植民地支配を批判し、朝鮮の民衆に対して共感と連帯を示した日本人を取り上げる。
①「征韓論」と朝鮮開国=植民地化
1868-1910 幕末から韓・日併合条約まで
②抑圧の時代に生まれた共感と連帯
1910-1945 朝鮮植民地支配から解放まで
朝鮮を見つめ続けた人々
政治や人権、学術、スポーツなど、様々な分野で朝鮮と向き合った日本人は多い。梶村秀樹、清水澄子、松井やより、上田正昭、荻村伊智朗、新美隆の6人の人物をとりあげ、朝鮮と向き合ったその生涯と業績を紹介する。
①梶村秀樹
歴史家・梶村秀樹さんのメッセージ
●佐藤信行(在日韓国人問題研究所「RAIK」所長)
②清水澄子
戦争体験が運動の原点に
●朴日粉(朝鮮新報記者)
③松井やより
加害国の女性として、彼女たちの思いに応えたい―
④上田正昭
国境越えて描いた「民際」の軌跡
●鄭喜斗(公益財団法人高麗美術館学芸部長)
⑤荻村伊智朗
コリア卓球統一チーム実現に尽力
⑥新美隆
弱者への優しさを持ち続けた「信念の人」
●金舜植(弁護士)
出会いに導かれて―私にとっての朝鮮・朝鮮人
藤永壯(大阪産業大学教員)
一月二六日の大阪朝鮮学園補助金裁判不当判決を受け、大阪では二月から三月にかけて各ハッキョのオモニ連絡会が緊急の抗議集会を開催している。ある集会で話をしているうちに、思わず「私たちの闘い」という言葉が口から出てきて内心驚いてしまった。一介の支援者に過ぎない私だが、朝鮮学校の裁判闘争はもはや「他人事」ではないようなのだ。