病気:高額療養費制度、傷病手当金
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在日同胞が直面する生活上のさまざまな問題の解決法について、人生のステージごとにわかりやすく解説します。
文時弘 ●在日本朝鮮人人権協会
病気になったら
Q1結婚し、子どもも生まれるなど順風満帆に見えたヨンホさん・ミファさん夫婦の暮らしに暗雲が。ヨンホさんが急な病気で手術と入院をすることになりました。医療費がかさみそうなのですが、どうすればいいですか?
A:病気やケガによる医療費は保険適用で原則3割自己負担ですが、それでも手術や入院になると出費がかさみます。そのような場合にも安心して療養を受けることができるよう、医療費の自己負担分が所得に応じた自己負担限度額を超えた場合、その超えた分が払い戻される高額療養費制度があります。
この高額療養費は「同一月」かつ「同一の病院等」で受けた療養の医療費を合算して計算します(※)。1回の療養にかかった医療費が自己負担限度額を超えていなくても、同一月の負担分を合算して限度額を超えていれば、その超えた額が高額療養費として支給されます。原則として「同一人」が支給対象ですが、自己負担分が単独では限度額を超えていない場合でも、同一世帯における負担分がそれぞれ2万1000円を超えている場合は世帯で合算することもできます(70歳以上は自己負担額をすべて合算可)。
「同一月」の医療費が基準になるので、たとえば同じ10日間の入院でも、1月15~25日に入院した場合と1月27~2月5日に入院した場合とでは異なります。月をまたいで入院した場合、それぞれの月(1月分と2月分)に計算された医療費が限度額を超えていなければ高額療養費は支給されません。かかった医療費は同じでも、入院のタイミングによって支給されないケースもあるということです。
事後に申請する方法のほか、事前に限度額の認定を受けることで医療機関の窓口でそれ以上の支払いをしないで済む方法がありますが、どちらの方法でも高額療養費の支給を受けるには申請が必要です。現在、所得に応じて全5区分の限度額が定められており、たとえば非課税世帯の自己負担限度額は3万5400円です。70歳以上はさらに負担が小さくなるように限度額が設定されています。
※同じ医療機関であっても、「医科と歯科」、「通院と入院」は別に計算
Q2ヨンホさんの病気の療養が予想外に長引きそうです。欠勤が続くと所得が下がるので心配です…。
A:健康保険(いわゆる社会保険)に加入している被保険者が、病気やケガなどで労務不能となった場合、労務不能となった日から継続した3日間(待機期間)を過ぎて、当該傷病によりさらに労務不能で欠勤することになった場合、その1日につき、およそ給与(日額)の約3分の2の額(※)が傷病手当金として支給されます(最長1年6ヵ月)。ただし、欠勤期間の給与が支払われない場合に限ります(待機期間については有休でも可)。また障害年金等の給付を受けている場合は、不支給や差額支給などの調整があります。なお、この傷病手当金の制度は国民健康保険にはありません。
※正確には「標準報酬日額」の3分の2の額
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